卯ノ花姉弟シリーズ 海での出来事−吉良の場合− ガヤガヤと騒ぐなかイヅルは自分の不甲斐なさを嘆いていた。 「はぁ…(隊長に今日の事はバレてしまうし、隊長たちに囲まれた尊さんに話しかけることさえ出来ないなんて…)…はぁ〜」 今にでも“の”の字を書き始めてしまいそうなイヅルの後ろ姿。 なかなかの哀愁が漂っている。 そんなイヅルの背中を見つめる視点が一つ。 「はぁ…どうせ僕は今日話せないんだろうな、」 『誰と?』 「誰とって… へ?」 隊長たちに囲まれている尊を見たくなくて、離れた岩陰にいたはずなのに。 誰かが自分の会話に入ってきたことに驚き声の方を振り返る。 「尊さん!?」 『イヅルー、どうしたんだよ?元気ないぜ?』 「い、いつからそこに///!?」 『いつからって…溜息つきまくってた時ぐらいから?』 「(結構早めー;!…よかった外に出たのが溜息だけで…)」 『それより!誰と話せないんだ?』 「あ、いや;それは///」 『?』 イヅルは心のうちで「しまった!」と思う。 尊に対する言葉を本人に聞かれてしまったのだから。 「(でもここで尊さんと話していれば市丸隊長に勝てるんじゃ…!)」 自分の上司を思い出し勇気を振り絞るイヅル。 「じ、実は『わーかった!桃ちゃんでしょ?桃ちゃん!』へ?」 『そっかそっか♪やっぱりイヅルは桃ちゃんのこと…w』 「え!?いや、尊さん;あのー…」 『照れんな照れんな♪ よしっ!ここは先輩に任せてよ!俺、頑張っちゃうから!』 「ちょ;!尊さん!」 『〜♪〜〜♪〜』 後輩大好き尊君。 自分への好意には気付かないほど鈍感で、 お世話大好き。 イヅルは思う。 僕は呪われているのではないか? こんなにいいチャンスが合ったのに。 尊が鈍感でもどうにか出来たはず… 少し離れたところでこちらをニターっとした笑みで見つめる隊長を見つけた瞬間、 「(やっぱり僕は呪われているんだ…泣)」 呪いは確証された。 ---end--- [*前へ][次へ#] [戻る] |