卯ノ花姉弟シリーズ
更木隊過去編五
いきなりの事に静寂に包まれる十一番隊。
尊はそれに気付いたのか、
『あ、すいません;』
そういうとすぐさま更木から離れペコペコと謝る尊。
先ほど纏っていた空気とは違う
柔らかい空気にまたも静寂に包まれる隊舎内。
「・・・・何しやがった」
その更木の質問に一角・弓親も尊の方を見、
「・・・縛道・・・かな・?」
と聞いた。
『・・・はい、ついカッ、っとなっちゃいました;
十一番隊の方が鬼道苦手って知っててやったんですけど(苦笑)
すいませんでした!
新人なのにでしゃばって!!
けど・・・
だけど、失礼を承知で一ついいですか?』
またも表情がしまり更木を見据える尊にまたも静寂に包まれる。
更木へと縛道をかけた時と同じ顔。
「・・・なんだ」
真剣な顔になった尊を何事もなかったように更木が応えた。
それを聞くと尊は
『四番隊はお荷物隊じゃないですからね!
戦えなくってもみんな出来ることを最大限にやってるんです。
それが四番隊。
あの隊がいなかったら勝てない戦いもあったはずです。
更木隊長は強いからないかもですけど・・・
それでも怪我をした時お世話になってるのはここの隊員ほとんどらしいですよ!
お言葉かもしれませんが、
ある意味で十一番隊もお荷物隊です!
悪く言われてるのを承知で四番隊の皆さんは十一番隊の皆さんの治療をされてるんです。
そこはわかってください。』
偉そうにすいません、と頭を下げる尊の頭上から大きな笑い声が聞こえた。
「くくっ、なるほどな、。
・・・気に入ったぜ、新人のくせにここまでとはな・・・仕事なんてある用でほとんどネェ。
俺は強い奴を求める。
お前の力量なんざどうでもいい、足手まといにならなければな。
・・・解らないことがあるなら弓親にでも聞け。
」
俺は寝る。
と妖しい笑みを見せながら奥の隊長室へと入っていく
その後姿を見ながら尊は
『はいっ♪ありがとうございます!一生懸命頑張りますね〜!!』
と笑顔で応えた。
あっちが悪いにしても相手は隊長。
自分は新人と言う身分で鬼道をかましておいてただで済むとは思っていなかった。
姉さんにも修兵にも心配をかける事は出来ないと思っていたのに自分からドジを踏んでばかりの今日。
それがさっきの更木の一言で救われた気がした。
やはり自分を引き抜いてくれただけ少しばかり優しいところがあるのだろうと、
気にいってもらえたこともそうだが
噂でしか知らなかった更木の事を会って見て新たな一面を知る事が出来嬉しかったのだ。
『いやー更木隊長って聞いてたより優しい人なんすねww』
そうニコニコと話す尊に一角・弓親は何が起こってるのかあまり把握できずにいた。
自分たちの隊長が己よりも強いか解らない人間、
ましてや新人に対し
「気に入った」
などとの言葉が出るなど今まであっただろうか?
最後のあの妖笑・・・
あれは確実に尊に対してのものだ。
「(・・・だから僕が見つけたのに。)」
「(隊長もかよ;)」
それぞれ口には出さないが思うことは同じ。
そんな二人をよそに可愛らしい声が尊の名を呼ぶ。
「ねぇ、ねぇ!!尊って言うの??」
「「あ」」
『え?あ、えっと・・・』
更木に気を取られていて気付いていなかったのか、
誰だろう?と疑問が残る中その人物のことを忘れていた二人が話しだす。
「尊。この人は草鹿副隊長。」
「こんななりしてっけど十一番隊の副隊長だ。」
『そうなんでスか!へ〜この子が』
可愛いですねwとしゃがみ込み目線を合わせた尊に対し笑顔を向ける子供。
否、副隊長。
『なんかゴタゴタさせちゃって挨拶が遅れてスイマセン。
今日付けで十一番隊員として働かせてもらいます、
卯ノ花尊です。
草鹿副隊長、よろしくお願いしますね(ニコ♪』
「よろしくね〜wわたしは、草鹿やちるだよ♪
尊かぁ〜・・・
じゃあたけちゃんってよぶねッ♪
わたしのことは“やちる”ってよんでね!!」
う〜ん、と自分のあだ名を考える姿は子供独特な可愛さで思わず尊は笑みがこぼれた。
しかし、この歳の子はあだなを付けるのが好きなのだろうか・・・
弓親もあだ名で呼ばれていたが、一角の「ツルリン」。
尊はこれを聞いて噴出してしまっていた。
『ブッ!?・・・っ・・・一角さんてばっ、ツルリン・・・ププッ・・・!!』
「尊!てめっ!何笑ってやがる!!?」
「たけちゃんも“ツルリン”って呼びたいんだよww」
『やっ・・・それはちょっとっ・・・あはは!ウケるw』
「なんだと//!?」
『や;!なんでもないっす・・・プッ!ちょっと!副隊ちょ・・・!
あははっ〜〜腹いてーー!!』
尊がやちると仲が良くなるのは、凄く早かった。
やちるは一角の頭をペチペチとたたいて回る。
それがつぼに入った尊。
顔を真っ赤にしてやちるを追いかける一角。
「・・・ここはまだまだ子供だな、」
弓親の呟きは尊とやちるの笑い声、一角の怒号によってかき消された。
尊の笑顔は更木に向けた最初の顔を忘れさせるような輝きだった。
−十一番隊隊長室−
「・・・・・卯ノ花・・・尊・・・おもしれーじゃねぇか(ニヤ)」
尊の腕に通された何重もの紅い紐。
鬼道を使った時のあの表情。
すべてが更木の興味を誘った。
これが“卯ノ花尊”が死神になり初めて配属された日の出来事。
過去編更木隊end
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