卯ノ花姉弟シリーズ
更木隊過去編四
ビリビリと感じる普通の平隊員も気絶してしまう程のこの霊圧に対し尊はなんて変わった様子も見せず、
『おーすごい霊圧ですね!もしかして隊長さんですか??』
そんな呑気な尊に対し更木の力を知る2人は驚きつつも呆れてしまった。
「尊は何ともないの?」
『へ?何がです??』
「だから、隊長の霊圧だよ!
お前、何ともないのかよ?」
一角に“隊長の霊圧”と言われやっと2人が聞きたい事を理解したのか、
『あ〜!割と耐えれます!
いつも姉さんとかに会うのもあるんでしょうけど…
けどやっぱ、ちょっとピリッときますね〜(苦笑)
』
その尊の返しに2人はまたも驚かされるのであった。
泣く子も黙る更木剣八。
黙るどころか霊圧が当たったじてんで意識を飛ばしてしまうだろう。
自分達が更木に初めて会った時は冷や汗だったものを、
今日初めて死神として配属された新人が言ってのけるのだから。
さすが“卯ノ花烈の弟”というべきであろうか。
そうこう2人が考えているうちに霊圧は扉の前まで来ていた。
尊はというと、
怖んだ様子もなく起立して今かと隊長を待っている。
すると扉が開くと同時に
「誰だ?この霊圧は----。」
「だれかいるのー??」
という二つの声が聞こえてきた。
尊と目が合う2mは越すだろう白い羽織をきた大男と、
その大男の肩にチョコンと座っているピンク髪の子供。
そしてこの2人を見た尊の第一声。
『でけー。』
・・・・・・・・・
「・・・誰だテメーは・・・」
あの更木に向かっての第一声が「ひぃぃい!!」や「うわぁぁあ!!」などの悲鳴ではなく、
『でけー。』
少なからず更木にとってはいい印象ではない。(悲鳴もそうだが・・・;)
少しばかり怒気を含んでいる自隊の隊長の言葉に弓親・一角は焦った。
ここで助け舟を出そうとしたが、それは助け舟を出されそうになっていた尊自身によって遮られた。
『あ!初めまして!
今日からこの隊でお世話になります、卯ノ花尊です!
なんか、この度は俺を引き抜いていただいたそうで・・・
ご迷惑かけると思いますが!一生懸命働きたいと思っているのでよろしくお願いしますっ!(よし!きまった!)』
挨拶は大切だと姉に教えられて育った尊。
ぺこり、と頭をさげると髪を上に引っ張られた。
『いでででッ!!は、放してください!!』
少し涙目で訴える尊をニヤリと見る更木。
そして・・・
「テメーが四番隊んとこの弟ねー(妖笑)
四番隊のだけあって女みてーな顔してやがるな・・・
まぁいい。
今から俺と勝負だ。」
頭を解放された尊は何事かと思ったが直ぐに理解した。
自分が配属されたのは“あの更木隊”なのだ。
こんなことがあっても可笑しくはない。
そう思いどうするか、と考え込む尊に
「なんだァ?ビビッちまったか(笑?
“お荷物隊”隊長の弟だもんなー(ニヤ
やっぱり“お荷物”だったか?笑」
そう笑ってのける更木に弓親・一角は何も言えないまま心配そうに尊をみた。
そう言われた張本人の尊は考えるのを止め笑顔で更木の方をを振り返った。
「なんだ?言い返せネェのか?」
そうまたも笑う更木に対し、
シュッ
バタッ!!
「「なっ!?!?」」
次の瞬間、床に伏せる更木。
そしてその後ろに笑顔ではあるがどことなく冷たい空気を背負う尊がいた。
『四番隊は“お荷物”なんかじゃない。
優しくて強い人たちばっかりだ。
それに四番隊がいないと十一番隊の隊員なんて今頃、全員死んでるよ。
だから・・・そういう発言は止めて下さいね?(微笑)』
最後はいつもの尊のように無邪気な笑顔をみせ更木にかけていた縛道を解いていた。
「テメー・・・」
「なんつー早い動きなんだよ;」
一角が驚くのも無理はないのだ。
尊が移動したのはホンの一瞬。
それも更木が気付かないほど。
それに更木という巨漢をまたも一瞬で押さえつけるほどの縛道。
卯ノ花尊。
そこに居た誰もが尊のことを只者じゃないと実感した出来事だった。
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