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The world where you are.



The world where you are.



背後に感じる体温が切なくて、何も言ってくれない少佐に本当に泣きそうだ。

「コナツ」

不意に聞こえたその声に俺は過剰なくらいに反応した。
愛しい人の声は、本当に切なく胸を締め付ける。

「ヒュウガ、会いたかった……」
「コナツ……何で、」
「え?」
「何でアヤたんの命令だからって、俺を置いてくの」

責めるような口調で言われ、その言葉がやけに理不尽に感じた。
軍人である以上、上からの命令は絶対だ。
それがどんなに大切な人と過ごす時間であれ、命令ならば諦めなくてはならない。
少佐にも当て嵌まることなのだから知らないわけではないだろうし、渋々ながらも承知しているはずだ。
なのにそれを上ではなく、俺に言うのは筋違いもいいとこだ。
俺だって、少佐と過ごせる日をどんなに楽しみにしていたのに。

「コナツは誰のベグライターなの?俺のベグライターだ、いくらアヤたんの命令でもコナツは俺のものだ」

まくし立てるように言った少佐は、ふと絡めた腕の力を抜いた。
途端に自由になった俺は振り返り、手は自然と少佐の頬に当てていた。
背けようとする少佐の顔と向き合えるように両頬を優しく包み込む。

「そうですよ」
「だったら、」
「でも、アヤナミ様のものでもあります」

酷い言い方かもしれないけれど、本当のことだ。
俺は少佐のものであり、アヤナミ様のものでもある。
それは死ぬまで一生続く関係でもあるだろう。
けれど、これだけは言える。

「俺の心だけは、ヒュウガのものでいたい」

サングラスの向こうで大きく目が見開かれた。
普段あまり見ることのできないその表情が愛おしくて、少佐の唇に自分の唇を重ねていた。
きっと俺の想いは全部通じることはないだろう。
けれど、ほんの少しだけでも通じるなら一緒にいられる。
わずかな時間でも、幸せは分け合えるのだ。

「体は駄目でも、心は全部ヒュウガにあげる」
「コナツ」
「だからっ、俺を……」

ぎゅっと押し潰されそうなくらい強く抱きしめられた。

「離さないよ……絶対に」

愛を囁くよりも甘く優しい声音。
きっと、この先ずっと俺だけのもの。

「コナツ、今日は何の日?」
「……HAPPY NEW YEAR、ヒュウガ」

世界で一番愛しい貴方に最初の言葉を送ります。

「今年も宜しくお願いします」
「固いね〜コナツくん」
「少佐」
「わわわっ!ごめんっ」

嗚呼、やっぱりいつもの少佐が一番好きだ。



*END



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