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『世界はそっち側』
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「なぁ、ここってどうやって注文とってんだ?」


横に座る結城に質問すれば「何故オレに聞く……」と言いたげな表情で睨まれた。
少しずつで良いから会話しようぜ?結城クンよ……。
「教えてくれよ風紀委員長さん?」とわざとらしく言ってみせれば、嫌そうな表情のまま溜め息を一つ。


「……このパネルから好きに選んでここの穴に鍵を通して終わり」

「すげぇ簡単な説明」

「実際にその通りなんでぇ、それ以上の説明もいらないですよー?」

「マジか」


呆れた口調で言う石山に、便利だなと感心してしまった。
普通に考えて食堂の利用者がここに通う殆んどの生徒だと考えれば、こういったシステムは混雑回避にも繋がるだろうから確かに良いアイディアだと思う。
でもウェイターの姿も特に見当たらなかったし、注文した後はどうするんだろうか?
とりあえず、結城と青海もパネルを操作しているからオレも何を頼むか決めるかな。
因みに先に来ていたらしい石山は既に注文済み食事開始済みなのだが「デザート頼もっと!!」と追加注文の為にパネル画面を見つめている。
パネルに映し出されているメニューは豊富で、馴染みのあるものばかりで助かった。
もしこれで魔法世界独自のメニューのみだったら何頼んで良いかわからなかったからな。
ひとまず昨日の夕飯から胃に何も詰めていない状態だからそんなに重くない物が良いし、今の気分的に白米と味噌汁が食べたいから普通に和食朝食セットにしよう。
メニューを選択してパネルの横にある穴に鍵を通して軽く捻る。
そうすれば画面上で『ご注文 承りました』の文字が浮かび上がり、これで完了のようだ。
本当に簡単だなと、そう感心していれば目の前がパッと光ったかと思えば、テーブルの上に今し方注文したばかりの朝食セットが現れた。


「おぉ、すげぇ。ついでに石山のデザートもすげぇ」

「こっちじろじろ見ないでくれますー?折角のビッグマウンテンパフェが不味くなりますぅ」

「いや見るだろそれは」


突然現れた食事に、成る程これならウェイターもいない事に頷ける。流石は魔法世界。
そして同じタイミング位で結城と青海、そして石山の注文した物も同じ様に現れ、更に石山が追加注文したというデザートの大きさ……というか高さに自然と目が行く。
だってお前、それ普通のパフェ何個分だよって高さとボリュームだぞ?飯食ったあとにそれ食うの?まだ胃袋に余裕あんの?小柄の体型の何処に収納されんの?
いろいろとツッコミたかったが、幸せそうにビッグマウンテンパフェとやらを頬張る石山に、余裕で食えます感を感じて何も言えなかった。
そういや石山は甘党だというのは知っていたが、大食いだという事は初めて知ったな。


2017/4/20.



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あきゅろす。
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