『ミッドナイト・オーバーキラー』
6
快楽室での行いを終わらせて、オレは切り分けてもらった物を片付ける為に再び地下へと向かい、ネオは身体にこびり付いた血やらなんやらを洗い流す為に浴室へと向かった。
地下から戻りリビングに向かえば、そこにはキャミソール姿のニナがいた。
「おそーい!!お腹空いたじゃないの!!」
「先に食べてれば良いのに」
「一人は寂しいもの。それよりノラ、ほっぺた」
「……あ、忘れてた」
頬に付いた血をすっかり忘れていたオレは、落とす為に洗面台へと向かう。
向かう前にニナにシチューをよそって「ネオも来るだろうから先食べてて」と渡した。
「早く来てよー?」とニナが言うから頷いておく。
しかしニナは出かけたり部屋着は露出の控えめな可愛い服を着るから、キャミソールのみの肌露出が多い格好は滅多になく、珍しいなと思った。
「……てか寒くないのかな。風邪引きそう」
洗面台に着き鏡を覗けば、そこには真っ赤な掌のあとが頬を埋めていた。
その赤を自分の指で上からなぞり、伸ばして唇まで持っていき、そのまま舌に乗せれば鉄の味が口の中に広がる。
それを堪能していれば、がらりと開かれるお風呂場の扉。
振り向けば、ネオが丁度お風呂から出たらしく、髪に水気が帯びてしっとりとしていた。
「ノラも一緒に入れば良かったのに」
「顔、洗いに来ただけだよ。それよりご飯だから」
「うん、お腹空いた。直ぐ行くよ」
「……風邪引かないでよ」
「わかった。ありがとう」
にこりと微笑むネオは、とてもきれいで少しどきりとする……お風呂上がりの効果もあるのかもしれない。
ニナも色気が増すからちょっとだけ、本当にちょっとだけ気まずく思う。
……まぁ、付き合いがそれなりに長いからオレから何かを起こすという事はないけれど。
そんな事を思いながらオレは顔を洗い始めた。
戻ってみれば、二人は食べずに待っていてくれたようだ。
申し訳ないと思いつつ、ネオが自分の分をよそっていない事に気付いて、よそいに行く。
渡せば「ありがとう」とにこりと微笑む辺り、わざとよそっていないんだとわかる。
オレも席に着いて、それを見たネオが胸の前で十字を刻み手を祈る様に組む。
オレもニナもそれと同じ事をして、手を組んで目を瞑る。
「偉大なる父母の神のもと、今日の糧をお恵みくださり感謝いたします」
簡単に食前のお祈りの言葉を紡いで「いただきます」と三人で声を揃えてやっとこ食事にありつけた。
今日のシチューも美味しく出来た。
2016/11/25.
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