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『ミッドナイト・オーバーキラー』
4


そんな捜査内容を何故一介の神父と子供であるオレに見せられるのかというと、ちょっとした理由がある。
でもそれを軍事警察の人間で知っているはガレットさんだけで、サリアさんは心配そうに、ハングさんは首を傾げている。


「ここ最近話題になってる事件ですよね?……確か昨日もニュースで見ました」

「そうだ。今朝、新たな遺体が発見されてな。やはり同じ殺害方法だった」


そう言ってガレットさんは溜め息を吐いた。
それも仕方ない。この案件は同様の手口の事件が既に何度も起きているからだ。
現場付近や最後の目撃情報の付近を数日かけて手がかりを探しても犯人に繋がるものが見付からず、警察も手をこまねいているらしい。


「言っとくけど、ボクはこの件には関わってないよ。勿論、ノラもニナもね」

「そうか。二人は兎も角、お前は関係ありそうだと思ったんだがな。違ったか」

「……君、なんだかんだ見逃してくれてるけど、本当はボクの事を刑務所にぶち込みたいって思ってる?」

「庇うのにも限度があるからな」

「二人には全力出すくせにー。ノラの事には特に」

「当然だろう」


最後の方の会話は小声で内緒話をする様に話された為、オレの耳には入らなく「贔屓だー!!」とネオが騒ぎ出すから尚更首を傾げた。
そんなネオを無視してガレットさんは一度、咳払いをして話を続けた。


「ノラやニナは兎も角、お前も関係ないのなら確かなんだろうな。だが、こちらは警察犬を連れて歩き回ったのに手掛かりも何もない」

「……つまり、犯人は"普通の人間"じゃない可能性、って事かな?」

「確証はないが可能性はある」

「ご依頼、と受け取っても良いのかな?」

「そうだな。こういった事件に関してはオレ達よりもお前達の方が向いているからな。……ネオは兎も角、子供達に危険な事をさせてしまうのは気が引けるが……」

「少しはボクの心配もしてよー!!」


「ガレットの意地悪ーッ!!」と半泣きで再び騒ぐネオを放っておいて「悪いな」とガレットさんはオレの頭を撫でた。
ガレットさんからの頼み事は今回が初めてという訳でもないし、この件に関しては"目には目を"ってやつだ。
それに頑張るのはネオやニナで、オレは殆んど役に立たない。一緒に行っても基本的には守られてるだけだし。
それはそれで申し訳ないし、何かオレも手伝いたいけど、事情があって本当に何も出来ないから凄くもどかしいけど「私やネオに出来ない事をノラは出来るんだから役割分担って事で気にしないの!!」と昔ニナに言われて、それ以降は心が少し軽くなった。
単純と思われるだろうけど、でももう大丈夫。


「オレもネオやガレットさん達のお手伝い出来るの嬉しいから、大丈夫です」

「……無茶だけはするなよ?」

「はいっ」


少し心配気に言うガレットさんに安心して貰おうとにかっと笑いながらオレは返事をする。
それが伝わったのか、少しだけ気を緩めたガレットさんがまた頭を撫でる。本当に撫でるの好きだな、この人。


(まぁ、オレもなんでだか嬉しいって思うから良いんだけど)


頭にかかる重みと温もりに自然と頬が緩んだ事にオレは気付かなかった。


2016/12/31.



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