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『向日葵の咲く頃には』
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グラウンドでは、サッカーやテニス等が行われていて、空いている場所に2コート分のスペースを設けてドッジボールが行われる。
用意されたコートには、既に数組の参加者が揃っていて、宇高もクラスの奴等の元へ向かった。
オレと岸谷は邪魔にならない位置で宇高とクラスメートの応援をした。
オレ達のクラスは片方のコートで早速試合が行われた。
ドッジボールなんて、中学の体育ではあまりやらないスポーツだった為、久し振りの観戦に加えて、バレーの応援の熱も残ったままだったから、テンションが上がったまま宇高達を応援した。


「凄い!!あんな早いボール、オレ絶対零すわ!!」

「今投げた人、野球部だからコントロール上手いね」

「あ!!宇高取った!!いけー!!」

「おっ、命中!!」


ボールを無事にキャッチした宇高は、思いきり相手チームの生徒目掛けて投げた。
そのボールが取り辛い位置に飛んできた為、相手はキャッチ出来ず、外野に回った。
意外と宇高のコントロールの精度が高く、取り辛い所ばかりに投げ込んでいる。
それ、狙って投げてるんだとしたら恐ろしい程のコントロールの持ち主だな……。
そんな意外な一面を目の当たりにし、気付いたら相手チームの残りの人数が三人になっていた。
数が減ると逃げるスペースも広くなり、ボールが当て難くなる筈なのに、宇高の抜群のコントロール 力とクラスメート達の活躍で面白い程バンバン当てられ、あっという間に勝利した。
クラスメートも活躍したが、MVPは宇高に決定だなって位、宇高が目立ってた。凄い。


「オレ最初宇高は逃げに徹すると思ってた」

「小回り利きそうだしね。でも洋平はスポーツに関しては意外と容赦なく行くタイプだよ」

「ジャージにまで忘れずにリボンとか可愛い小物あしらった姿からは、とても想像つかない程の男らしさのギャップが逆に良い」

「真顔で何言ってるの」


クラスメートと勝った事に喜ぶ宇高のジャージには、色とりどりのリボンや刺繍が施されている。
初めての体育の時間に「自分でやったの?」と尋ねたら「ジャージ寂しかってん」と答えた宇高が可愛かったのを、オレは今でも覚えている。
ジャージや制服に一工夫している生徒は何も宇高だけではないのだが、流石は私服も可愛い女の子系な宇高。ジャージ姿な筈なのにダサくない。可愛い。
いや、ここの生徒は平均的な子もいるけど格好良いから可愛いまでなんでも揃ってるから、ジャージ姿がダサいって人、なんでかいないんだよね。勿論オレはカウントしてません。
そんな事を考えていれば、二回戦が始まった。
トーナメント式だからオレ達のクラスは一旦休みだけど、二回戦も白熱した戦いを繰り広げていったが、四回戦に当たった対戦相手に惜しくも負けてしまい、オレ達のクラスは途中敗退となった。


「お疲れ、洋平。惜しかったな」

「避けきれたと思ったんやけどな〜!!」

「でも凄かったよ!!皆もお疲れ様!!」


「お疲れー!!」とクラスメートに労いの言葉を送り、ドッジボールの最終結果を見る事もせずに、オレ達は再び体育館に戻って来た。
次の試合は、オレが出る内の一つ、バスケが始まるからだ。


2016/12/31.



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あきゅろす。
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