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『向日葵の咲く頃には』
体育祭 開始。


佐野さんとのご飯デートから数日。
リレーや騎馬戦等は体育祭までに何度か練習が必要ではあるが、オレや宇高が出る種目に関しては、特に練習する必要も準備するものもなく、岸谷程の忙しさは特になく体育祭までの時間を過ごした。
オレ達は特に変わりなく過ごす中、体育祭実行委員や生徒会、そして風紀委員や体育委員会の生徒達は、体育祭に向けての準備で慌ただしく走り回り、校庭や体育館がキレイに整備され、遂に体育祭当日を迎える事となった。
天気も良く、季節がら少しだけじめっとした空気で服が肌にまとわり付くが、それでも絶好の体育祭日和である。
体育祭でのチーム分けは、三学年混合のクラス縦割りごと。
つまり1-Aは二年と三年のAクラスと一緒、みたいな感じだ。
それが5クラス分あるから、結構な賑わいっぷりだ。
特にEクラス……厳つい人から強面の人、つっぱってる系の人とか様々でめっちゃ怖い……。
オレのクラスと離れてるっていう事もあって、じっくり見たのが初めてだからっていうのもあるけど、それにしても今まで彼等を校舎で見かけなかったのが不思議な位の存在感ある集団だ。
今後の学園生活でも絡まれない様に気を付けよう……。
そう決意を新たにしていると、肩をぽんと叩かれ振り向けば、宇高がペットボトルを持ってそこにいた。


「マコっちゃん、水分補給だいじやで。これ持っとき」

「あ、ありがとう。宇高、気が利く〜」

「マコっちゃん絶対途中でぶっ倒れてそうやもん」

「酷い!!オレそこまで弱くねぇよ」


肩を落としながらペットボトルを受け取れば「冗談や」と楽しそうに笑う宇高。
でも確かに身体を動かしたり、太陽の熱に晒されるのであれば、気を付けなきゃ眩暈がしてもおかしくないかもと思うと、宇高の気配りはやはり有り難かった。
体育祭はまず開会式が行われ、それから各自参加する競技場に一斉に動き出した。
オレ達三人のそれぞれの種目は、偶然にも被る事はなく、三人が三人、それぞれの応援が出来る様になっていた。
まず初めに岸谷が参加するバレーから応援が始まる。
ここの学園は敷地も校舎も何もかも広い為、体育館も大きく、更には体育館だけで二棟存在する。
「そんなにいらねぇだろ……」と思ったが、体育祭での室内競技に関して言えば複数の競技をいっぺんに出来て、時間短縮に繋がるという点は、良い事なのかもしれない。
野外競技の方も始まっているらしく、時折笛の音や応援する大声が聞こえてくる。
オレと宇高は、競技の邪魔にならない二階の通路で自分達のクラスを応援した。


「おぉ〜!!白熱した戦いですな!!」

「めっちゃラリー続きよるなぁ。……あ!!そこや!!いけ!!」

「あっ!!拾われた!!ねばれ、ねばれ……よっしゃー!!」


数回続いたラリーも、岸谷の強力なアタックが決まり、オレ達のクラスのチームに得点が追加された。
その結果にオレと宇高は嬉しさのあまり「イエーイ!!」とハイタッチをした。
コート内でも得点が決まる度に集まってタッチしている。青春してるって感じだな。
その後も試合は順調に勝ち進んでいったが、三年生の強さには一歩及ばず、しかし三位という結果をのこしてバレーの対戦は終了した。


「岸谷お疲れ〜!!凄かった!!」

「ありがとう。でもやっぱ三年は強かった」

「せやけど三位なんは立派やで!!めっちゃ良かったで!!」

「二人の声援もちゃんと聞こえてたよ。次は洋平の番だな。頑張れよ」

「任しとき!!淳ちゃんの活躍見て力貰ったさかい、優勝してくるわ!!」

「宇高格好良い!!オレはまた精一杯応援するわ!!」

「頼むで、マコっちゃん!!」


「おーッ!!」と気合いのハイタッチを三人で交わして、宇高が参加するドッチボールの試合会場に向かった。
会場っていっても全ての競技を室内でやる訳ではなく、ドッチボールや騎馬戦、リレー等はグラウンドで行われる為、オレ達は室内履き用の運動靴から外履き用の運動靴に履き替えた。


2016/12/10.



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