『向日葵の咲く頃には』 天国行き決定!! 皆さん初めまして、オレの名前は月ヶ瀬 慎(ツキガセ マコト)といいます。現在16歳です。 実はオレには昔から友達にも、親にも言えない、言わない秘密があります。 それは……昔からゲイだどいう事です。 一般的に考えて有り得ない性癖の持ち主だと思ったか? こっちからしてみれば普通の事で、普通の感情で、男が女を好きになるのや、女が男を好きになるのと全く変わんねぇんだわ。 なんで恋愛対象が男なのか、それは小さい頃に見知らぬ女にそういった事をされたトラウマがあるっていう、ごく普通(?)の理由で女が苦手になり、そしたら自然に男に興味が向いた、という訳。 これまでに何人かの男の人と付き合ってデートしたり、手を繋いだりキスなんやらもしたが、肉体関係にもつれ込んだ事はまだない。一度もだ。 見知らぬ女に襲われたにも関わらず、オレはどっちかっていうと突っ込まれる、所謂ネコ役を希望していて掘られたい願望はあるが、トラウマによりそういった行為になると、その時の恐怖から拒んでしまい、理由を掻い摘んで説明すれば相手は「それでも良いよ」と言って優しくしてくれたけど、最後は決まって「ヤれないから」という理由で別れ話に繋がってしまう事が何度かあって寂しい思いをしている、どうしようもない奴だ。 そんなオレがあと数ヶ月で高校二年に上がるって時に両親から言われた言葉。 「慎。父さん達、旅行に行く事にしたんだ」 「……行けばいいんじゃね?てかオレは連れてってくんないの?」 「慎君。この旅行はね、お母さんとお父さんの結婚二十年目の記念旅行なの。この記念日には絶対に長期旅行に行こうねって結婚当初からの約束してた事なの」 「あ、そうなの。ならしかたないね、いってらっしゃい。因みに長期ってどん位?」 「「二年近く」」 「二年近く?!長っ!!え?!長すぎじゃない?!オレどうすんの?!二年もボッチなの?!(あ、でもそしたら外へ男探しに出れる……)」 なんて小さな希望を見出して呑気に考えていたら「ボッチにならない方法があるわ」と母が続けた。 「実は結婚前からの知り合いが経営している全寮制の男子校があってね。記念旅行の話をした時に、その時は預かってもらうっていう約束をしていたの。それでこの間連絡したら大丈夫だって事で、慎君は春からその学校に通ってもらう事になるの」 「……何時の間に決定事項まで決まってたの……。え、てか全寮制?男子校?」 「そう。全寮制だから友達も卒業まで一緒だし気兼ねなく父さん達の帰りを待てるだろ?」 「……この家は?」 「戻るまで親戚に仮住まい兼管理してもらうから大丈夫よ」 「……手続きとか試験とかそんなんはないの?」 「手続きはもう済ましてあるし、試験は一週間後に受けに行ってもらうから。慎なら大丈夫だろう」 「慎君、びっくりする位成績は良いから……お母さんとは違って……」 「運動神経悪い所は母さん似だよ?オレ」 「悪い所似せちゃってごめんね!!慎君……ッ!!!!」 「わぁん!!」と泣き出す母を男二人で慰める。 今の所運動神経が悪くて困った事は何もないから安心してくれ、母よ。 そんな訳で一週間後と言われた試験を受け、無事に合格し、オレは春から全寮制の男子校に転校する事になった。 「………………ぃよっしゃぁぁぁあああああッ!!!!」 合格通知を貰って、荷造りして搬送して、あと数日で寮に行く所まできてやっと実感が湧いた。 つい大声を出したが、今両親は買い物に出かけている為家には一人だ。叫び放題だ。 両親から今後を話された後、試験勉強やらなんやらに追われてうっかりしてたが、全寮制って……!!男子校って……!!!! 天国じゃね?!男しかいないんだよ?!見放題だし、選び放題じゃねぇか!!たとえ同士がいなくたって囲まれているだけで幸せだ!!残りの学生生活は超ハッピーだ!! その事実を理解した瞬間からオレのテンションは狂った様におかしい。 だが気にしない!!オレは今機嫌が良い!!今ならおっさんに抱かれても良い!!!! 「……やっぱおっさんは遠慮しとこう……そもそも無理だしな」 ぼふりとベッドへ寝転がって心を落ち着かせる。 数日後には天国へ行ける。 楽しみ過ぎてにやにやが止まんねぇわ。 2015/5/1. [*前へ][次へ#] [戻る] |