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『向日葵の咲く頃には』
3


栗山先輩との出来事のあと、オレは急いで学食へ向かった。
決して昼休みの時間があと僅かでご飯食べる時間がないから、とかではない。
あのあと栗山先輩は「やっぱヤってこーよー」とオレの手を取って化学準備室に引き摺り込もうとしたから、オレは慌ててその場を逃げたのだ。
なんだってこの学園はオレにとって都合の良い所なのに悪条件なんだ……!!
オレだってお付き合い出来るならしたいけどさ!!そういう行為も致したいけどさ!!無理なんだよ……ッ!!
オレは誰に向かって言っているのかわからない台詞を心の中で叫びながら岸谷と宇高の元へ急いだ。






「財布取りに行っただけで、なんでこない遅いん?」

「オレ達食べ終わっちゃったよ?」

「……は、はははー。人に捕まりまして」

「それでそのにやけ顔かいな。キショいから早ぅ買うて来い」


しっしっと手で追い払われてオレ涙目。
岸谷に至っては苦笑しながらオレと宇高のやり取りを見ている。
一旦券売機に行くのに席を離れて、それから食券を買って注文したのが出されて席に戻る。
因みに今日はたらこスパゲッティを頼んだ。
セットでコンソメスープとサラダが付いている。
食べていれば宇高が「誰と会ったん?」と聞いてきたのでオレは栗山先輩との事を話した。


「三年の栗山 康人って先輩」

「えっ!!マコっちゃん栗山先輩に会ったんか。てか会ってしまったんかい!!」

「あ、何?まずいの?ヤバそうな雰囲気なかったけど……」

「悪い人って意味じゃなくて、栗山先輩は役員でもないのにこの学園では結構有名だから」

「……と、言うと?」

「あの人、相当のヤリチンっちゅー話やねん」


宇高の発言にスパゲッティ吹きそうになった。
単語もそうだが、宇高みたいな可愛い顔した人間から普通になんの躊躇いもなく"ヤリチン"なんて言葉が発せられた時の、このなんとも言えない複雑な心境……。
恥らいながら言われてもドキドキしちゃうけど、これはこれである意味ドキドキものですよ。


「あー……うん。遭遇した時、丁度事後だった。うん。」

「事後で良かったね」

「確かに。最中だったらマジどう対応すべきか」

「混ざったらええんとちゃう?」

「洋平……他人事だと思って適当な事言わないの」


ぺしりと宇高の頭を叩く岸谷に宇高は「ごめーん」と軽く謝罪した。
混ざるとかはもともと趣味じゃない。っていうかオレ、出来ないしね。
偶然居合わせちゃってそういう流れになったとしたら、出来るんだったら是非ともって感じではあるが。
うんうん唸りながら自分の中で答えていれば、じとりとした視線を感じて目を向ければ、ジト目でオレを見る宇高だった。
オレはその目に耐えられずさっと視線を外した。苦笑いで。


2015/9/26.



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あきゅろす。
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