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『小虎の恋模様』
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「草間クンは軍人さんなんだ〜。意外と似合うね〜、惚れちゃう〜」

「だろ?でも遠野に惚れられても嬉しくも有り難くもないからやめてね」

「マジレスすんなしー!!」


断られると逆にムカつくー!!、と悔しがる遠野を苦笑する小虎達は、とりあえず入口に佇んだままだと他の人に迷惑になるだろうと遠野達を席まで案内した。
三人のオーダーを取り、それを裏方に控えている生徒達に伝え―――といっても教室内で行うのは出来上がって用意されている食品や飲み物を盛り付けする位で、物自体は調理室で調理されている―――盛り付けされたオーダー品を接客担当の生徒が運ぶ。
手作りで間に合うものは手作りで、焼き時間がかかる様なものは市販品を使用するという方法で2-Dは軽食やデザートを提供している。


「お、お待たせ致しました!!ご注文のミルクティー、チョコレートケーキセット、あんみつになります!!」

「ケーキセットはオレね〜」

「あんみつは私です」

「ミルクティーはオレです」

「ごゆっくりどうぞ!!」


生徒会役員の座る席にオーダー品を届けた生徒が頬を赤く染めながらお辞儀をして立ち去る。
その際に周りから、良いな〜!!、という声がチラホラと聞こえた。
その声に苦笑しながらも三人はそれぞれ運ばれたものに口を付ける。


「お、結構本格的〜♪クリームの固さ超オレ好み!!」

「綾小路先輩も甘党なんですね」

「ええ。私はどちらかと言うと和菓子の方を好んで食べますね」


そんな生徒会役員達の会話を、周りにいる生徒や客として訪れた人達が聞き耳立てて和んでいる事に三人は気付かなかった。
そんな三人と教室内の雰囲気を小虎と草間は、まぁそうなるよな、といった視線で見つめていた。


「は〜。美味しかった!!ごちそーさまぁ〜」

「美味しかったです、と調理班の方々にお伝えください」

「は、はい。あの、皆さん見回り頑張ってください!!」

「午後はオレ、クラスに顔出ししなきゃだから一度抜けるけど、賀集も頑張れよ〜」

「オレもこのあと直ぐ少しだけ教室戻らないとなんで、お願いしますッ」

「う、うん!!」


食べ終わった三人は会計を済まして2-Dの教室を後にした。
生徒会役員と風紀委員達は、クラスの出し物で身体のあく人は見回りに回る事になっていて、出て行った三人も比較的自由のきく出し物となっており、それでも一度は顔を出して出し物に参加しなくてはならないという遠野と山内は、見回りの途中で一度抜ける事になっていた。
その旨を告げられて小虎は、午後の見回り頑張ろう、と改めて決意した。
一先ず担当している午前中の仕事をなんとかやりきろう、と意気込みを改めた瞬間、出入り口に佇む人物を見付けてしまい、折角の意気込みが一気に低下してしまった。


「…………」

「…………」

「おい、無言やめろ怖い」


出入り口に佇む人物を見て顔を青ざめさせながら固まる小虎に、小虎の姿を見て驚きに固まる紀野、そしてそんな二人に呆れた様にツッコミを入れたのは、巽だった。


2016/12/31.



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あきゅろす。
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