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『小虎の恋模様』
4


とりあえずどこに行くのか、予定を聞いてない小虎は相田に付いて行くだけとなったが、行く先々のお店は、小虎が滅多に行かない様なアクセサリー店やインテリア雑貨店等で、小虎も十分に楽しむ事が出来た。
雑貨店で白地にピンクと赤の水玉模様のマグカップを見付けて、小虎は服を選んでくれた姉のお土産としてそれを購入する。
相田は店の中を一通り回ったが、これといって欲しいと思った物がなかった様で雑貨店では見るだけに終わった。
雑貨店を出た二人は次に相田が服を見るという事で良く行くという店に向かう。
そこもやはり小虎とは無縁のお店で、小虎はドキドキしながら入る。
内装は白と黒のモノクロ調の壁紙に、ゴールドに輝くいくつものシャンデリアが店内を照らし、大人びた雰囲気は相田のイメージにもピッタリで、良く訪れるというのがわかる。
店に入れば店員に挨拶され、親しげに会話をしている辺り店員との交流も多いのだろう。
そんな相田を見つつ店内に置かれている洋服達を小虎は何気なく見つめる。
近くにあった洋服のタグに書かれた金額を見て小虎はサッ、と目を逸らした。


(ゼロが多い気がするんだけど、これが普通なの……?)


他のもそうなのかと思いチラチラと確認して見れば、どれもこれも小虎が普段買う洋服の倍以上の値段だった。
そういえば蓮見学園に通う生徒はお金持ちの家出身の生徒が多いんだった、というのを思い出す小虎。
あんまり触らないでおこう、そう思って小虎はそっと洋服から離れたが、後ろから肩を掴まれて、ビックリして振り返る。


「お前さっきっから落ち着きねぇけど、どうした?」

「え、あ、いえ……。値段の高さに驚いてるだけです……」

「……高いか?ここ……」

「そ、それは先輩のお家がお金持ちだから言えるんです!!ボクからすれば高いですよ……」


お金持ちの余裕な発言に小虎は唇を尖らしながら答える。
これがねぇ、と言いながら相田が値札を見るが、全くもって高いと感じさせない表情をされて更に尖らせた。
そんな小虎を見て相田はニッ、と笑う。


「お前こーゆう店なかなか来ないだろ?」

「……縁はないですね」

「折角だし、いろいろ試着しようぜ?」

「えっ!!い、良いですよ!!試着すら申し訳ないですし……」

「いや、服屋来て試着が申し訳ないって事ねぇだろ……」


全力で拒否する小虎とは裏腹に相田は楽しそうに洋服を選び始める。
何着か手に取っては小虎と見比べて戻したり、手に持ったままにしたりを繰り返して、数着持ったまま試着室へ向かう。
手招きされた小虎は渋々付いて行き、手渡された洋服を受け取り仕方なく試着室に入って行く。
着なきゃ駄目か、と諦めた小虎は着替え始める。


「……着ました……」

「おー、良いじゃん。流石はオレ」

「ちょっと大きい気もします」

「お前チビだもんな」


ははは、と渇いた笑みを向ける相田に、チビで悪かったですね!!、と膨れっ面を向ける小虎。



2015/6/12.


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