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『小虎の恋模様』
6


文化祭を終え、テストを終え、冬休みが間近に迫ってくる。
文化祭の結果としては予定通りオバケの格好をして客寄せに校内をウロウロして、何度かシーツを踏んだり踏まれたりで転んだりズレたりした。
たまに先輩に剥ぎ取られそうになり―――別にジャージ着てるから問題はないのだけれど―――恐怖のあまり必死に逃げ回った。
体力を奪われただけの文化祭だった……切ない。
テストに関しては相変わらずの結果で、進級出来てもD組にそのまま持ち上がりだろうなぁ……、と肩を落とした。
成績が良くなれば、クラス移動が出来るシステムとなっていて、当然下がれば一つ低いクラスに移動させられる。
ボクは上がりもしなければ下がりもしないので変わらないのだが……切ない。
因みにE組は成績も関係するが、どちらかというと素行の悪い、わかりやすい括りで言ってしまえば所謂不良さんが集まるクラスなので、下手な事さえしなければE組にまでは下がらないと誰かが言っていた。
中間も期末も散々だったな……なんて思ってても日常は変わらず進み、時期的に次期生徒会の役員や風紀委員会の役員を決める為の投票期間になった。
といっても大体の生徒は誰に票を入れるかなんて既に決まっている事らしく、生徒投票は一日で終わった。
その後、教師陣の評価や成績を調べ、集計は冬休みに現生徒会により行われて、休み明け前に選ばれた生徒のみ事前に報告を受けるとの事。
生徒会や風紀委員会の仕事をした事のない生徒が選ばれる事もある為、三学期の間はそれぞれの補佐という立場で様子見したり、慣れてもらう為らしい。
既に噂にもなっていた紀野君は生徒会長に選ばれる事間違いないだろうと思いながらも、ボクも清き一票を紀野君に入れた。
……しかし、投票用紙にはなんだってあんな二択しかなかったんだ……おかしいだろう……。


投票用紙には"抱かれたい人"と"抱きたい人"のカテゴリーしかなく、目を疑った。


生徒の評価ってこんな偏った評価で良いの?!誰が書いたとかわかんないにしてもこれは恥ずかしい告白も同然だな!!しかもぶっちゃけた方の!!
クラスの人をチラ見したら皆真剣に記入してた。
……あ、これが普通なんだ……、と一気に冷静になった。
ただ、その二択しかないので、紀野君の名前を書くのに戸惑った。
深く……深く!!考えないように努めて片方の欄に"紀野薊 君"と小さく書いた……駄目だ顔が熱い……。
因みにもう片方の欄は浮かばないので空欄で投票させてもらった。
どっちに書いたかなんて内緒。



―――冬休み。
夏休みみたいに一時帰宅する事なく寮の自室でゴロゴロしていれば、寮を管理するお兄さんが、お届け物です、と手紙を届けてくれた。
なんだろうと封を切れば、日時と場所を指定した内容だけで、不思議に思いながらも場所を示す文字を凝視する。


「……ボク、なんかしたっけ……?」


そこには"場所:生徒会室"と書かれてあった。


2015/4/2.


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