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■短編■
3


注文したのが運ばれてようやく昼食にありつけた。
もう一つの席では久瀬がいないからと男子も積極的に話しかけていて、久瀬がいなくても河口さんやもう一人の子も楽しそうに会話を弾ませている。
こっちの席では二人の女の子はさっきっから久瀬に話しかけてばかりで、食事が進んでいない。
話しかけられても返答しない久瀬は注文したスパゲッティを黙々と口に運んでいる。
因みにオレも暇で食べる事しかする事がないからグラタンをゆっくり食べている。
熱いからという理由もあるが、早く食べ終わってしまうと本当にやる事なくて本気で暇になるから。
しかし、返事を返さない久瀬に対してよくもまぁ懲りずに話しかけられるな。
そーゆうもんなのか?なんか必死だし……あ、そっか。久瀬って今フリーなんだっけ?
事前に友人に聞いた話を思い出して、必死に話す理由に納得した。
つまり今日この集まった女の子達は久瀬目当てで、あわよくば久瀬とお付き合いするぞという目的で来ている訳だ。
久瀬がいる時点でそんな気はしていたけどさ。
つかオレと理由一緒じゃん。そう考えれば一気に冷めてきた。
オレと理由が一緒なら本気で見込みないじゃんオレの恋は。
じゃあ、もう今日一緒にいる意味ないじゃん。失恋は確定なんだしさ。



食事が終わって会計も済まし「次どこ行こうか」って話になった時、オレは意を決して話し出した。


「悪い。オレ急用出来ちゃったから帰るわ」

「え?そうなの?もうちょっと佳賀里君とも遊びたかったのになぁ」

「急用じゃ仕方ねぇよ」

「……あはは、ごめんね。誘ってくれてありがと」


「じゃあね」とオレはその場を足早に離れた。
あー、もう……気持ちが冷めると本当いやな考えしかしない。
さっきオレともう少し遊びたかったって言っていたのは河口さんで、元好きな子。好きだった子。
もし本当に急用が出来てしまって、女の子皆が久瀬に集中してなかったら、そう言われれば凄く嬉しい気持ちでいられたけれど、今となっては「そんな心にもない事をよく言えるな」なんて思っちゃう訳で。
全く……男の嫉妬は醜いと言うが、オレは心の底から醜くなってんな。
もう早く帰って寝て忘れよう。忘れて次の恋を探そう。そうしよう。


――翌日。
大学にて現在、オレは毎度の如く友人に愚痴を零している。



「もう本当いや!!」

「そーだなー。もういっその事、恋愛しなければいいんじゃね?」

「無理だろ!!彼女出来るまでは無理だよ!!」


昨日のお昼同様、机に突っ伏すオレに呆れた視線を向けてくる友人。これも毎回の事だ。
あのあと残りのメンバーで楽しく過ごして女の子四人の内誰かは久瀬と結ばれたのだろうか。
失恋した以上、オレには関係ないけど、出来れば河口さんではない子と付き合ってるといいなぁ……、なんて。


「あ、佳賀里君」

「ん?……あ、」


声をかけてきたのはまさかの失恋相手の河口さんだった。
どうしたのだろうと河口さんを見れば、河口さんは言いにくそうな表情で「あのね……」と言葉を紡ぎ出す。


「昨日……佳賀里君、急用が出来て途中で帰っちゃったでしょ?そのあとなんだけど……」

「……うん?」

「そのあと……その、佳賀里君、久瀬君と会ってたりするのかな?」

「………は?」


河口さんの質問の意味が全く理解が出来ない。
何?なんて言ったの?あのあとオレと久瀬が会ってたかって言った?どゆこと?!
オレは慌てて河口さんに詳細を聞いて、オレも友人も開いた口が塞がらない内容を聞いた。




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あきゅろす。
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