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■短編■
2016/7/3〜【2】


【小虎の恋模様 番外編2】

今朝やって来た草間の容姿に一瞬、目を丸めた小虎だったが、その青ざめた顔を見て心配になり部屋に入れたまでは良かった。
お互いに不審な格好をどうしたのか質問し合い、恐る恐るフードとタオルを外して見せて、二人して絶句したのが二時間程前の話。


「なんでこんな……」

「でも草間君、似合ってるよ?」

「いや、似合う似合わないの話じゃなくてだな!?小虎なら兎も角、なんでオレにまでって話だよ!!」


頭を抱えだす草間の手の側でぴくりと動く、頭の上につんと立ったソレ。
そこに小虎は手を伸ばし、ふにふにと感触を確かめる。


「わぁ、ふかふか!!可愛い」

「……お前は薄めだけど柔らかいのな」


草間も、草間同様に小虎の頭の上にあるソレを触りながら呟く。
お互いに触り合いをして暫し沈黙―――何をやっているんだ自分達は。


「朝起きたらこうなってたんだよね?」

「あぁ。原因がさっぱりだからどうする事も出来ないし」

「……ワンコ」

「……なんだよ、ニャンコ」


何を可笑しな事を言っているんだとお思いだろう。だがこれは現実だ。
今朝目を覚ました小虎と草間が見たもの、それは―――己の頭部に生えた獣の耳と腰より少し下から生えている獣の尻尾だった。
最初こそまだ夢の中なのか、または寝惚けているかのどちらかだろうと思ったのだが、手触りの良い毛並みと、ゆらゆらと揺れる尻尾に「やべぇ現実だ!!」と衝撃が走ったのだった。
こうなった理由は皆目見当もつかず、まさか自分以外にもこの状況に陥った者がいる事にも驚き、二人は学校を休む事にしたのだ。
因みに小虎が猫で草間が犬である。


「これ……ちゃんと戻れるのかな?」

「戻れなきゃ困るだろ。ずっと休んでる訳にはいかねぇんだし。フードで隠してても何時かはバレるだろうし」

「なんでこうなったのかな?」

「……それがわかれば苦労はしないぜ?」

「……だよね……」


「はぁ」と溜め息を吐いた時、どちらかのお腹がぐぅと空腹を訴えた。
思えば朝は、衝撃に衝撃が重なってまだ食事を摂らずに二時間以上経っていた事を、小虎と草間は思い出し、苦笑を溢した。




つづく。

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2016/7/3〜2016/8/5.



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あきゅろす。
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