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■短編■
2016/6/5〜【小虎の恋模様 番外編1】


「え?今日、賀集と草間休みなの?」


役員の仕事の事で小虎に会いにD組へ訪れた紀野と巽(巽は付き添い)にそう告げたのはD組の生徒だった。


【小虎の恋模様 番外編1】


「はい。二人とも休みなんて珍しいんですけど……」

「同じ日に休みっていうのも気になります」

「不謹慎だよ!!風邪かもしれないでしょ」

「えぇ〜?でもぉ」


「二人とも仲良いし」と小声でのやり取りは、側にいる紀野達の耳にはばっちり届いていて。
「コホン」とわざとらしく咳き込む紀野にびくりと肩を揺らして、彼等は慌てだす。


「休みなのはわかった。教えてくれてありがとう。でもここにいないからって憶測だけであれこれ言うのは良くないと思うよ?」


にこりと微笑みながらお礼と注意を促せば「ハイッ!!」と良い返事が返された。
小虎がいないのであれば用はないといった風にD組を去れば、話をしていた生徒達がきゃあきゃあと騒ぎ出したのを耳で拾いながら「はぁ……」と紀野は溜め息を溢した。


「賀集が休みだなんて……憂鬱だ」

「ブレねぇな。しっかし、草間も休みっつーのは確かに気になるな」

「授業免除使ってお見舞いに行こうかな」

「二人のか?」

「いや賀集だけ」


見舞いに行くと呟いた紀野に巽が聞けば、即答且つ早口で返答してきた紀野に対して「相変わらずだな……」と巽は口の端をひくつかせた。


「……心配だからオレも行くわ」

「あっそ」


流石に休んでいる相手に何かをするような奴じゃないという事はわかるが、それでも付いて行くに越したことはないと思い、巽は溜め息を一つ吐いた。



――― 一方、その頃。


「……で、だ。どうするよコレ……」

「何がどうしてこうなっちゃったんだろうね……」


静かな学生寮の役員専用フロアにある、生徒会長用の部屋に今朝から草間は訪ねていた。
「緊急なんだよ!!」と慌てた草間の声音に驚いた小虎だったが、小虎は小虎で緊急事態だった。
それでもどんどんと叩かれる扉に負け、勇気を出して玄関を開ければ、そこには―――……。


「……」

「……」


パーカーを深く被った草間と、頭をバスタオルでぐるぐる巻きにした小虎が向かい合った。
それが今朝の話。それから二時間程経った今も、お互いの状況の解決策が見出だせずにいた。


つづく。


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2016/6/5〜2016/7/3.




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