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■短編■
2016/5/5〜【11】


【居眠り王子とオレ 11】


「っ、え、うそ……」

「オレも本当だから」


そう言って国定は、ほんの少しだけあった距離を縮めてオレの直ぐ目の前にまでつめ寄ってきた。
そしてオレの両手を取って指と指を絡ませる様にぎゅっと力を込めて繋ぐ。
女子に囃し立てられている整った顔がぐぐっと近付いてきた。


「オレ寝起き良くない方なんだけど、富山に起こされると直ぐ目が覚めるし、一緒にいたいからって思うと眠気も飛んでたし、富山を独り占めしたくて今回の事頼んだんだ。友達になれたのも嬉しいけど、下心あって近付いたのも事実なんだ……ごめんね?」


申し訳なさそうに言う国定に不覚にもきゅんとしてしまった。
にやけそうになる口元をなんとか耐えて、それでも嬉しくてへにゃりと緩んだ顔で言った。


「謝んなくて良いよ。国定がオレを好きにならなかったら仲良くなる機会も、オレが国定を好きになる事もなかったんだし。下心持って手紙寄越してくれてありがとうな」


照れつつそう言えば、口元に柔らかいものが触れてきた。
それは元々近くにあった国定の唇だと気付き、オレはその行為を素直に受け止める。
唇が離れる際に下唇をぺろりと一舐めされて、ぴくりと肩を揺らす。


「富山、これからもオレと一緒にいてくれる?」

「当然じゃんか。……でももう席替えくるから目覚まし役は難しいかな」

「あー……まぁ、なんとかなるんじゃない?」


そう言う国定に「なんとかってお前なぁ……」と返した。




それから月が替わり席替えが行われた。
遂に国定と席が離れてしまうのか、そう肩を落としていれば担任が「あぁ……そうだ」と思い出した様に呟いた。


「富山の活躍のおかげで国定の授業態度が良いと先生方の評価も良くてな。先生にとっても喜ばしい事だから富山と国定の席はそのままなー」


「皆良いよな?」と担任がクラスメートに聞けば「良いよー」と返事が飛び交った。
どういう事だとオレは困惑したが、国定は嬉しそうに「ありがとー!!」とクラスメート達に言っていた。
それで良いのか……。そう呆れていれば肩をつつかれ、隣を見れば、にこりと微笑む国定がいた。


「ね、なんとかなっただろ」

「偶然にだけどな」


でも席が離れないのならオレも嬉しいから素直に喜んでおこう。


《おわり》

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長い事(長い事?)お付き合いくださり、ありがとうございました。
突発的に衝動的に無計画に書き始めた【居眠り王子とオレ】ですが、無事に完結まで導けて良かったです(終わりはなんとも味気ないアッサリ系ですみません……お話作りが下手なんです;;)
掲載中の期間に沢山の拍手を頂けて嬉しかったです^^
ありがとうございました!!


2016/5/5〜2016/6/5.




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