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long(HYŌTEI)
甘やかす飼い主







《side跡部》





「遅え…」



澪の転入手続きを先程済ませてさて帰るかとなった時、突然澪が走り出して追いかけようと思ったら「先に車、戻ってて!」と言われたので待っているんだが随分と時間が経ち過ぎている。
澪と出会ったのは数年前、風邪をこじらせ病院に訪れていた時に重体状態だったあいつが運ばれているのをすれ違った時、虚ろな紅い瞳と一瞬目が合い、その一瞬で俺は不思議な感覚に陥り、心を打たれた。俺はそいつが何者かを調べると、父親が家族心中を図ろうとして母親が子供を守りその子供、澪だけが助かったんだとか。家族を失ってしまった澪を両親や澪の親族に無理を言って養子にもらい一緒に住んでいる。澪の長い入院期間が終わり俺はてっきり同じ学校に通うと思っていたのだが、今いる学校に通うと聞かなかったので元いた学校に通わせていたが、最後の一年は俺と過ごして一緒に卒業したいと言われたのでこの氷帝学園へ転校させた。
最初こそ俺に警戒心丸出しだったが、今では俺にべったりで可愛らしい。



「さすがに遅えな、探しに行くか」


「お待たせー」


「どこ行ってたんだ、遅いから心配しただろーが」


「うさ吉がいなくなってて、ごめんね?待たせちゃって」



眉尻を下げ首を傾げて謝る澪、これをされるとなんでも許してしまえるので自分でも甘いと思う



「そんなの使いの者に探させればいいものの」


「自分で見つけ出したかったからいいの」


「そうか、こんな肌が赤くなるまでやりやがって、帰ったら冷やさねーとな」



軽くデコピンをすると照れたようにデコを抑え眉を下げて笑う。
心配な事は多いが、これからは学校にいても目の届く所へいるのでひとまず安心だろう。

澪がとあることを仕掛けていて後々焦ることになるとはこの時気づきもしなかった











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