林さんと比べて、私はスタイルも良くなければ…可愛く制服なんか着こなせない。

ただ髪を可愛くアレンジ出来ることぐらい。


「大きい声出して、入ってくんなよ。花恋(かれん)」


森君も林さんのことをいつも呼び捨て。

…ま、そうだよね。
だって、カップルなんだし。

こう2人を見てると本当にお似合いなカップルて感じ。

けど、なんでか見ているとズキンと心が痛くなる。



「いーじゃんっ。あっー!」



林さんは私を見るなり、笑顔で私の机に両手をついて『加野ちゃんだよねえっ!?』と目をきらんきらん輝かせていた。

……へ?林さんがなんで私の名前知ってんだろう。

話したこともないし、ただ廊下ですれ違う時に姿を見るだけ。



「 、うん…っ」

「よく加野ちゃんの話聞くんだよー!てか、可愛い髪型だねっ。今度よかったらあたしの髪をセットしてくれないかなっ?」


ほ…へ?私の話を聞く?

て、誰かだろう。


ちらりと森君を見ると私と目が合い、眼鏡をくいっと上げ何故か私達から顔を逸らしていた。


ー…?



「加野ちゃーんっ?」



私の顔の前で手をふらふらさせて、それに気付いた私は『あ、ごめんっ。…えっ…と、私でよければっ』と返事をする。


「ありがとーぉっ!"彼氏"とデートする時ぐらい可愛くしたいからさっ」



ふふん、と可愛く鼻を鳴らして林さんは森君に視線を向けた。

何を言うのかと少しドキドキしながら林さんが喋るのを待つ。


『あ、今日一緒に帰れる?』


みたいなことだよね、絶対。





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