5 林さんと比べて、私はスタイルも良くなければ…可愛く制服なんか着こなせない。 ただ髪を可愛くアレンジ出来ることぐらい。 「大きい声出して、入ってくんなよ。花恋(かれん)」 森君も林さんのことをいつも呼び捨て。 …ま、そうだよね。 だって、カップルなんだし。 こう2人を見てると本当にお似合いなカップルて感じ。 けど、なんでか見ているとズキンと心が痛くなる。 「いーじゃんっ。あっー!」 林さんは私を見るなり、笑顔で私の机に両手をついて『加野ちゃんだよねえっ!?』と目をきらんきらん輝かせていた。 ……へ?林さんがなんで私の名前知ってんだろう。 話したこともないし、ただ廊下ですれ違う時に姿を見るだけ。 「 、うん…っ」 「よく加野ちゃんの話聞くんだよー!てか、可愛い髪型だねっ。今度よかったらあたしの髪をセットしてくれないかなっ?」 ほ…へ?私の話を聞く? て、誰かだろう。 ちらりと森君を見ると私と目が合い、眼鏡をくいっと上げ何故か私達から顔を逸らしていた。 ー…? 「加野ちゃーんっ?」 私の顔の前で手をふらふらさせて、それに気付いた私は『あ、ごめんっ。…えっ…と、私でよければっ』と返事をする。 「ありがとーぉっ!"彼氏"とデートする時ぐらい可愛くしたいからさっ」 ふふん、と可愛く鼻を鳴らして林さんは森君に視線を向けた。 何を言うのかと少しドキドキしながら林さんが喋るのを待つ。 『あ、今日一緒に帰れる?』 みたいなことだよね、絶対。 [←] |