2 なんで、彼に勉強を教えてもらうことになったのかは30分前に遡る。 ――――――― ――― 今日の数学の授業に出されていた宿題を忘れて、その罰ように数学の先生に渡されたのは 『はい。+2枚追加したからね』 5枚ほどの数学の問題用紙。 ちょ…、これは夏にもらった4枚半よりも半分多いぞ。 『先生、私を殺す気ですか?』 『あー…。 お前、数学嫌いだもんなあ』 私が持っていた問題用紙をぺらりとめくり『こりゃー、一人でやったら2日かかるかもな』と笑顔で付け足した。 何で笑顔なんですか…。 ツッコミ所がありすぎて、もうわかりませんっ。 嫌そうな顔をしながら、持っている問題に目を通す。 1問目からわからなーい……てありですか? 『誰かに教えてもらいながらやったら?』 『………へ?』 あ…、それがあるか。けど、私の友達はほとんど数学が不得意。 『誰か数学得意な人居ませんかー?』 『例えーば…、あいつは?』 先生が指を指した方向を見るとちょうど職員室に来ていた…優等生の森君。 …………て、 『無理でしょー。優等生君が教えてくれる訳ないですよ』 苦笑いをしながら、先生の方に視線を移す。 森君は塾に通ってると思うし、私なんかに勉強を教えてくれる訳なんかない。 [←][→] |