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アイシールド21
例えばこんな始まりも




「危ないっ!!」





聞こえたのは誰かの焦った声、それからこめかみ辺りの鈍い痛み。








――そしてあたしは意識を手放した










「ここは…?」


寝ぼけているのか
一瞬何処だか解らなかった。
ぼんやりした視界を瞬きで治して、やっとここが「保健室だよ。」


「…っだれ?」


思考を読んだみたいに声が被さって驚いた。
目に飛び込んできたのは椅子に座っていても存在感のある長身の男。






「(この人…確かアメフト部の大和くん、だっけ)」

まだ頭がぼーっとしている。
そのまま大和くんを見上げていると彼はなんだか頬を染めて矢継ぎ早に話しかけてきた。



「アメフトのボールが君に当たってね、
意識がないからここに連れて来たんだ」


「そっか、あれボールだったんだ…」

どうりで痛い訳だ、あんなものが飛来して当たるなんてあたしも色んな意味で運がいいな…



「本当にすまなかったね…まだ痛むかい?」


「ん、大丈夫だよ」
ホントはまだ少し痛いけど、物凄く心配そうな顔されたらそんなこと言えないし…

「それなら良いんだけど…
あ、瑠璃子にボールを投げた大馬鹿にはちゃんとお仕置きしておいたからね!!」




人の手を捕まえて爽やかに笑って言う事じゃない…

つかなんであたしの名前知ってるんだろう?



「(あんまり触れないでおこう…)ありがとう?
後、手離してくれる?」


絶っ対顔ひきつった…!

でも言わなきゃ離してくれなさそうだし…




「それは無理だよ。
瑠璃子の手、白くてすべすべでずっと握っていたいくらいだ…」


大和くんはまたニコッと笑って、今度は両手であたしの手を握ってきた(なんで!?)

そのまま持ち上げて自分の頬に人の手をすり寄せてる大和…くん
(笑顔なのに物凄く恐い…
ってか変態じゃね!?)







「俺瑠璃子の事ずっと可愛いなと思って狙ってたんだよね…だから今、凄く幸せだ…」


すりすりしていた手は外されたけど、何だか距離が近くなってきてる気がするっ!


「え?ちょ、近いっ!」


ナチュラルに近付いて来た大和(こんな変人呼び捨てでいいや)に今度は抱き寄せられて思わず鳥肌が立った…!




「柔らかいし、それに良い香りがする…
好きだよ瑠璃子…君が好きなんだ」



耳元で囁かれた言葉にまた意識が飛びそうになった。


あたしを好き?




考えてる間に目を伏せた大和が近付いてくる。

まるでキスする直前みたい…ってそれ駄目でしょ!!?


「だから近いって言ってるでしょ、この変態ー!!」(ドゴォッ)


「ぐっ…良い右ストレートだね瑠璃子!」


「嫌ー!?鼻血出しながらにじり寄ってこないでっキモい!!」


「ははっ照れなくていいよ!!」(ガバっ)


「抱きつくなアホー!!!」


誰か助けて下さい!!



例えばこんな始まりも


(大好きだよ瑠璃子!!)

(あたしはお前みたいな変態嫌いだ!!)




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