[前]夜空舞う、銀の蝶
骨折
いつもより仕事が多かった私は、仕事をしてから教室に向かおうと思っていた。
仕事が終わって
いざ教室へ…
と思ったのだが、いやに屋上が騒がしい。
廊下を走り出すと、窓の外に
人影。
「!武君っ、ツナ!」
…私の嫌な予感、所謂゙直感゙だったのだが、あたってしまった。
今、思い出した。
武君が、うでを骨折して…自殺、しようとしたんだ。
でも、する前にツナの話を聞いて、逃げようとするツナを引き止めたら
元々錆びていたフェンスが折れて…
…落ちたんだ。
「だから昨日っ…」
無理しないで、と言ったのに…
「…ッ」
私は、下にいるであろう
ツナと武君の元へ、急いだ…───
───下では、武君とツナが話していた。
「…ッ武君」
あっ…蝶!?と叫ぶツナを無視して武君の前に立つ。
「蝶…」
「………か」
「?」
「…ッバカ!野球バカ!」
バシンッと渇いた音が響く。
…それは、私が武君の頬を叩いた音。
ツナも武君も、目をパチクリさせている。
私は武君の胸倉を掴んだ。
「ふざけんなよ!!」
ビクッと肩が震えた。
私はそんなのお構いなしに発言を続ける。
「死ぬのは、痛いし苦しいんだ!でもっ…それより残された人は、もっと苦しいし悲しい!一回のスランプが何!?それだけで人生無駄にすんの!?」
「………」
…山本は無言だった。
蝶の言葉を、静かに聞いていた。
「世の中にはっ…生きたくたって、生きれない人もいるの!」
(そう言った蝶の顔は)
(今にも泣きそうな表情をしていた)
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