[前]夜空舞う、銀の蝶
2
「獄寺君の席はあそこの…獄寺君?」
先生の話を無視して、ズンズンとツナに近付いてくる隼人君。
ツナは顔が青褪めている。
(あ…ヤバっ…)
ツナの机に蹴りを入れた隼人君。
私は咄嗟に手でツナの机を押さえた。
グキッ…
「…っ」
「あっ蝶!?」
「!」
…良く鍛えたつもりだった。
(…変な音した)
やっぱり、押さえ方が悪かったみたい。咄嗟に手を出したから指の骨が折れたっぽい。
「…」
コキッコキッと指を鳴らして、
「大丈夫」
と言えば
「大丈夫じゃね──!!」
とツッコミが返ってきた。
「夜空…大丈夫か?」
「たぶん、平気…っ!!」
先生の問い掛けに答えていれば、指にいきなり痛みが走った。
何かと思えば、隼人君が私の指を握りしめていた。
「は、隼人く…「保健室に連れていくぜ」」
…は?
いや、良いです。そんなたいした事ないですから。
そう言おうと思ったけど、
聞く気、0。
私の手を引っ張ってグングン進んでいく。
(…先生ー!行ってきまーす!)
(ぁ、ああ)
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