[前]夜空舞う、銀の蝶
4
「あら…?いないみたいね…」
ルッスーリアさんはキョロキョロと辺りを見回した。
「ここにいないけど、次男のレヴィ・ア・タンがいるのよ♪」
レヴィ、って呼んであげてね♪
と言われた。
レヴィさんって…
…あれか。ボス命のオヤジ。あれは…生理的に、無理。
ごめんなさい、レヴィさん。
「蝶ちゃん、蝶ちゃん」
「はい?」
ルッスーリアさんがにっこり笑って、一人の小さな子供を引っ張ってきた。
フードを深く被っていて、顔が良く見えない子。
フードから出ている髪は、銀色の様な黒髪だった。
「この子は冬夜或音って言うの、アルって呼んでね♪たぶん、蝶ちゃんと同い年ぐらいよ」
アルさんはコクッと頷いた。
…冬夜或音。
漫画にはいなかった人物。
さっき、私の名を聞いて反応したのは
この人だ。
…アルさん。
何者なんだろう。
「ほらアル、姫に挨拶しろって」
ベルさんに言われて軽く会釈した。
「アル、君がこの娘を送りなよ」
マーモンさんが言えば、アルさんは私の手を引き、歩き出す。
「…俺が送らないで、誰が送る」
揺りかごに関わってないヴァリアー隊員は、俺だけなのだから。
(揺りかご時は)
(大切な、任務があった)
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