[前]夜空舞う、銀の蝶
2
ベンチに座っていた蒼の子が立ち上がり、近付いて来た。
私より背が高くて、蒼い髪から綺麗な赤と青のオッドアイが見える。
「僕は、…骸、と言います」
骸。六道 骸。
何処かで、聞いた名前…
あれ?何処だっけ…
「思い出そうとしなくて良いんですよ?」
「…え…」
「ゆっくり思い出せば良いんです」
…ゆっくり、ゆっくり。
甘い生クリームのように白い
霧に包まれて…
「こっちに来なさい」
骸さんが呼べば、紅の子が骸さんの隣に立つ。
紅の子は小さくて、紅い髪の隙間から見える真紅の右目は怯えているように見えた。
顔の左側は包帯で良く見えない。
「この子は、マリアと言います」
と呼ばれた子は骸さんの服の裾をぎゅっと掴んで、後ろに隠れている。
「この子は人が苦手なんです。良い子なので仲良くしてあげて下さい」
悠嘉…
───…あれ?
何、今の…
「夢、なの?」
現実[リアル]な夢。
(夢…)
(また、見れるかな)
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