[前]夜空舞う、銀の蝶
9
「…ふぁ…」
「あ、起きた?」
目を擦り起き上がると、見た事のない部屋に居た。
…たぶん、綱吉の家だ。
布団に寝てる…
記憶がないから、あの後すぐ寝ちゃったんだ…
「蝶ちゃん、大丈夫?」
「へ?」
いきなり顔を覗き込んできた綱吉。
茶色の髪がふわふわしてる。きっと柔らかいんだろうなぁ…
(そう言えば…)
「大丈夫って…何が?」
大丈夫って…
お母さんの…事かな…、でも…綱吉って…知らない、よね?
「蝶ちゃん、三日間も寝てて…高熱も出してたんだよ…」
心配そうにしている綱吉。
さっき落ちた物って…水で濡れた布…?
(もしかして…)
「看病、してくれたの?」
首を縦に振って、にっこりと笑った。
ありがとう、とお礼を言って頭を撫でると少し恥ずかしそうにした。
(可愛い…!小動物みたい…)
柔らかい髪を撫でているとドアが開いて、奈々さんが入ってきた。
「蝶ちゃん、体調は良さそうね」
にっこりと笑って言う奈々さんは、綱吉に良く似ている。
いや…綱吉が奈々さんに似ているのか…
─近付いて、ゆっくりと私を抱き締めてくれる奈々さんは
優しい匂いが、した。
(…この家族を)
(幸せに、したい)
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