小説
プランツ・ドール2
怪しいと思いながらも好奇心には勝てず、元親さんは店内を回り始めました。
店内のプランツ・ドールたちは確かに美しく、夢中になる人たちの気持ちもわからなくはないと思いました。けれど、噂によるとプランツ・ドールはバカ高いそうです。
気持ちはわかるが、自分であれば買おうとは思わないな。その時はそう思いました。

しかし、次の瞬間 元親さんは雷に打たれたような衝撃を受けました。

奥のソファーに座る一体のプランツ・ドール。白い肌、肩までの栗色の髪、綺麗で愛らしい顔立ち。元親さんは呆然とそのプランツ・ドールを見つめます。
いつの間にか後ろにいた店主の明智さんが、元就が気になりますかと問いかけます。このプランツ・ドールの名前なのでしょう。元親さんは確認するようにその名を呟きます。
綺麗な名前だ。陶酔した面もちで元親さんは思います。
一目惚れでした。

元親さんは明智さんに、元就を売ってくれと頼み込みました。先ほど自分は買わないだろと思ったというのにあっさりと翻してしまいました。
ともかく元親さんは元就に夢中でした。いくらかかっても構いません、元就を連れて帰りたかったのです。
けれど、明智さんは首を横に振りました。何故かと問い詰めます。お金はいくらでも払うと。
明智さんは、困った顔で、元就が目覚めていないと告げます。

プランツ・ドールは主人を選びます。自分を連れて行く人を自分で決めるのです。
目を覚まさない限り、どんなにお金を積まれてもプランツ・ドールは売れないのだと明智さんは説明します。

元親さんはショックでした。連れて帰れないのもショックですが、それ以上に目を開かない元就に肩を落としました。
しかし、と明智さんは続けます。元就の気を引くことができれば目覚める可能性もあるのでは、と。
その時の明智さんは面白がっている表情でしたが、元親さんの目には入りません。

元親さんは奮起しました。必ず元就の目を覚まさせる、そして自分のものにするのだと決意したのでした。



続く?




(初稿 H21.11.30/日記から移動 H22.1.31)


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