小説
愛こそ全て(一万打企画)
1万hit フリリク作品です。
リクは戦国時代の元親×サンデー毛利でラブラブ、でした。
魚子様に捧げます。
ありがとうございました!





晴れ渡った空の下、巨大なからくり達の整備を行う。
部下達と声を掛け合い次はどう改良しようか、などと話をしていると、城から使いのものがやってきた。
「元親様、毛利の船が近づいてきております」
船は一隻。毛利の旗を掲げて。
同盟国である中国から船が渡ってくるのは別に問題ではない。
使いがやたらと慌てているのは、他の理由から。
「中国ではなく、九州の方面から来ている様子です」
「ああ…またあれか」
毛利の船が九州から。それが意味するところはひとつ。
その船には毛利元就が乗っているのだろう。
そして彼の御仁は普段の毛利元就ではなく。
きっと今は『サンデー毛利』と名乗っているのだろう。




「長曾我部よ、ザビー教に入信せよ!」
きらきらと輝くような笑みで船から下りた『サンデー毛利』さんは開口一番に言った。
予想していた言葉なので、遠慮するよと答えて毛利のご一行様を城へ案内するよう部下に指示する。
明らかにムッとした様子の元就を、頭を撫でてやることで宥めて(本人は否定するがこうされることが実は好きなのだ)、おいでと手を差し出す。
元就は頬を赤らめながらその手を素直に取り、歩き出す。
「ザビー様は素晴らしいのだぞ」
「良い話が聞けたのか」
「うむ。心洗われるようなお話だった」
ザビーを思い出しているのだろう。陶酔した様子の元就に苦笑いが浮かぶ。


九州に本拠地を構える『ザビー教』、教主はザビーという異国人。
元就がザビー教に入信したのは一年ほど前。
丁度自分が四国を留守にしているときザビー教からの奇襲を受け、敗れた元就はその場でザビーに何を言われたのか知らないが、とにかくザビー教に入信した。
しかも無理やりではなく、進んで入ったのだという。
話を聞いて慌ててザビー教へ乗り込んでみると、そこには確かに『サンデー』という洗礼名を嬉々として名乗る元就がいたのだった。





手を繋いだまま城へ戻り、奥の部屋へ連れて行く。
人払いを掛けて2人きりになると、とたんに元就が抱きついてきた。
「元親…」
甘えるように見上げてきて、望まれるままに口付けた。
首に元就の白い腕が回される。
幾度が口を吸いあい、顔が離れたときには元就の息は上がっていた。
「随分 積極的だな。我慢できないのか」
耳に齧りついて揶揄してやると元就はいやいやするように首を横に振る。
「ずっと…我慢していたのだぞ。船に乗っている時間の、なんと長いことか…」
早く触れて欲しかった、と元就は甘える。
普段であれば見られない姿だ。
「元親、我の愛は…そなたに…」
縋りつく元就に煽られ、元就の身体に覆いかぶさった。





ザビー教へ乗り込んだ日、とりあえず元就を連れて帰ることができた。
抵抗されるかと思ったが、拍子抜けするほどあっさりと帰国することに同意し、ザビーにその旨を告げて大人しく船に乗った。
そしてその船の中で元就に迫られた。
もともとそういう間柄なのだからおかしくはないはず。だが極度の恥ずかしがり屋で素直でない元就が求めてくるなど驚き以外の何ものでもなかった。
やはり罠かとも思ったのだが、それにしては元就に余裕がない。
―― ザビー様は愛こそ全てと仰られた。
縋りつきながら元就は訴える。
―― だから愛に忠実であれと。元親、我の愛はそなたのものだ。
愛している。だから共に愛し合おう。切々と訴える元就に驚きながらも、そのあまりの色気に流されてしまったのだった。




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あきゅろす。
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