小説
鬼の宝 ☆♪(2000hitリク)
2000hit キリリクです。つちのえ亀一様に捧げます。
「戦利品」の続きです。




竜の爪を求めてやってきた奥州。
そこで戦った竜はやたらと気の合う奴だった。
意気投合した俺たちは竜の館で飲み比べを行うことになった。


「Hey、やるじゃねえか」
「手前こそな。この酒で潰れねえとは」
酒の好みの似ていたらしく、船から持ってきた強めの酒を勧めても喜んで飲み干してしまった。
大概の奴は一口飲んでやられてしまうのでいつも一人で飲んでいた酒だ。一緒に飲み合える奴ができるとは嬉しいことだ。
「こいつもお前のtreasure ってやつか?」
「おうよ。酒ではこいつが一番だな」
綺麗な月夜にこれを煽るのが堪らないのだと告げると竜は納得したように頷いた。
「good! 俺もこいつ欲しいな」
「じゃあ次来るとき持ってきてやろうか」
「Thanks! 頼むぜ」
渋い顔をしている竜の右目を余所に2人で飲み交わす。


「酒ではって言ったな」
「あん?」
「こいつがbest だって。じゃあ今までの全部ひっくるめてのbest はなんだ?」
興味津々と竜が覗き込んでくる。好奇心丸出しの姿はガキみたいだ。
「そうだな。今回の竜の爪も大層なお宝だが…」
数々のお宝のなかでも気に入りの品を思い浮かべてみる。どれもこれも大事なお宝、だが。
最も執着を持つ宝といって思い浮かぶのは。
「やっぱあれだな」
うんうんと勝手に納得して頷いていると、竜から空いた杯が飛んできた。
「What? 一人で納得してるなよ。にやけちまって、気持ち悪い」
「悪い悪い。思い出すだけで顔がにやけるんだよ」
なにせ他に類を見ない一品なのだから。
「何だよ。勿体ぶらずに教えろって」
追求してくる竜を片手で制する。
「悪いな。こればっかりは教えられねえな」
なにせ、鬼の秘蔵の宝なのだから。




もう遅いから泊まって行けと進める政宗に断りを入れて船に戻る。
空は真っ暗で、今までであれば好意に喜んで泊まらせてもらっていただろうが、今はまっすぐ船に戻らないといけない理由がある。
船着場には見張りの奴がいた。
「アニキ、お帰りなせえ!」
「おう。変わったことはねえか」
「へい、何もありやせんでしたぜ」
船に戻り夜更けにも関わらず起きて働いている連中を激励し飲んでいる奴らはほどほどにしとけよと言葉をかけて自分の部屋へ向かう。
部屋に入ると、今日の戦利品である竜の爪を立てかける。水を一杯飲み干して、一息つく。
ことり、と小さな音が聞こえた。音は奥の部屋から響いていた。この部屋は奥にもう一つ小部屋があり、そこへはこの部屋からしか入れない造りになっている。
そこは以前は戦利品を纏めて置いていた。だが今そこにある戦利品は一つだけ。
大事な、大事なお宝の部屋だ。


「ん…ぅ」
紅い着物が広がっている。
申し訳程度にその着物を纏っている人物は力なく寝そべり呻く。
「待たせちまったな」
側に腰を下ろし顔を向けさせる。意識はあるようで、涙で濡れた目と視線が合う。
厳島で得た戦利品、中国の総大将 毛利元就 である。
手にしたその日から毎夜のように愛しんでいるのだが、気位の高いこの女はなかなか懐いてこない。
普段はこの小部屋で好きにさせているのだが、ここへ来る前、甲斐へ寄った折に逃げ出そうとしたので竜に会う前に仕置きをしていたのだ。
両の手を後ろで縛り、下肢にからくりを咥えさせた。動きは小さく、達することも出来ない刺激を与え続けられ今はぐったりとしている。
「ふ、ぅ…」
今までの状態が辛すぎたのか、小さく身体を震わせてしゃくり上げている。
身体を抱き起こし背に回した手を上下に摩る。
「辛かったか、ん?」
「う、うぅ…」
与えられた温もりが心地よかったのか、俺がこの状態を作り上げた張本人だと言うのに顔をすり寄せてきた。大分参っている様子だ。
「逃げようとするからだぞ。もうしないか?」
手を結っていた布を解き、擦れて赤くなった手首を舐める。その刺激も辛いのかひくひくと肩を揺らす。
「元就、もうしないか?」
子供に言い聞かせるように殊更ゆっくりと問う。気丈に振舞おうと普段 意図的にきつく見せる目は、今は弱々しく揺れている。
「元就?」
「……ぃ」
小さく言葉が紡がれた。けれど耳に届くには小さすぎる声に再度問う。搾り出すように女は喉を振るわせる。
「しな…い」
良い子だ、と唇を触れ合わせ腕の中の華奢な躰を苛め続けるからくりをゆっくりと引き抜いた。
「は…ぁ」
一瞬 背を強張らせ刺激に耐えるように目をぎゅっと瞑る。



柔らかな床に横たえ上に覆いかぶさる。
時に激しく、時に荒々しく、時に優しく抱くその躰に今日は壊れ物のように触れる。
蜜を零し続ける秘部へゆっくりと己の熱を侵入させる。
「あ…あ…」
首を横に振りむずがる女を幾度も口付けてあやす。
「元就」
綺麗な女だ。
人形のように整った顔立ちに洗練された立ち居振る舞いは見惚れるものがある。
強がりだが実際には弱い女だ。
普段は自分に対しても気丈に振舞っているが、接すれば接するほどその危うさが見え隠れする。
壊れやすそうな小さな女だ。
追い詰めてると出てくる仮面のなかに隠された素顔。


強がる姿を見れば壊したくなる。哀れな姿を見れば守りたくなる。
「ぃや…ゃ…」
幾度目かの口付けのあと、涙に濡れた目が自分を見つめる。諦めたように首を横に振って、首に腕が回った。
「…と、ちか」
何度も何度も囁いた。お前の居場所はここだと。俺の側にしかないと。何度も告げた。名を呼べと。
女は、堕ちた。
「元親…」
「ああ、元就。お前は俺のもの」
鬼の、お宝だ。





END




つちのえ亀一様からのキリリク「戦利品」の続きでした。
相変わらず微鬼畜な元親で…。こんなので良かったのでしょうか(びくびく)
想像されていたのと違っていたらすみません。
つちのえ亀一様に捧げます。リクエストありがとうございました!


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あきゅろす。
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