小説
愛でる
「足を舐めさせてくれ」
真剣に言ったら目の前の智将にドン引きされた。



「そなた、常日頃から頭がおかしいのではないかと思っていたが、本当にいかれてしまったのだな」
そこまで言うか。
「なんでそうなるんだよ」
綺麗な毛利はどこもかしこも綺麗で。
足も白くて細くて綺麗だと思ったら触って見たい、いや触るだけじゃなく嘗め回してみたいと思っただけなのに。
そう伝えたら更に嫌そうに柳眉が寄せられた。
「人の足を舐めたがるなど。頭がおかしいとしか思えぬ」
「他の奴の何か触りたいとも思うかよ。俺は毛利のだから触って舐めてみたいんだ」
「………」
冷ややかな視線とは違う。困惑した眼差しだ。
毛利は自分の理解の範疇を超えた行動に弱いから。こうなるとどうしたら良いんだろう、俺の好きにさせたほうが良いのかそれとも逃げるほうが良いのかでもどこに逃げたら良いのか、とかぐるぐる考え込んでしまっているに違いない。
こうしていても埒は明かない。
下手したらお日様が沈むまでこんこんと固まったまま考え続けるかもしれない。
となれば、行動あるのみ。



石化している毛利の足を掴み思い切り引っ張る。
油断と言うか考え込んでて回りに目がいってなかったのだろう。抵抗もなく毛利は背中からすっ転んだ。
ガツンと良い音がして大丈夫かと覗き込むと、頭を痛そうにさすっていた。頭を打ったらしい。
「き…さま…」
ぎっと睨んでくる顔は綺麗なだけに恐ろしくもあるが涙の滲んでいる今は可愛らしいだけ。
起き上がれないように掴んだ足を天井に向けて立てさせる。仰向けの毛利を見下ろしてにやりと笑った。
毛利は顔を青くして見上げていた。


足袋を脱がせ足の指を口に含む。
丁寧に舐めて桜色の爪を噛む。
「や、やめぬか!」
「やだね」
つつっと手で足のラインをすべる。くすぐったいのか僅かに身じろいだ。
口から指を離し足を眺める。足首も細いなと眺めていると無性に噛み付きたくなって食らいついた。
傷にならないように、でも跡が残るくらいに、力加減をしながら歯を立てる。
「や、やめよっ!」
舌を這わせてぴちゃぴちゃと舐める。なんでだろう、人の足なんか舐めてもおいしくも楽しくもないはずなのに、それが毛利のものだと思うと不思議とおいしくて楽しく思えてしまう。
ふくらはぎを丹念に舐め膝裏に口付ける。

持って帰りたいな、これ。

不意に沸き起こった思いに苦笑する。
そういえば以前に手を弄くり倒したときも同じことを思った。
この手を切り落として持って帰ればいつでも触れて摩って舐めていられるのに、四国にいてもきっと飽きることはないのに、と。
目を愛でたときも思ったか。抉り出して器に入れていつまでも眺めていたい、と。
毛利はどこもかしこも綺麗だから、自分はそのひとつひとつを丹念に愛でたいのだ。
毎回毎回持ち帰りたいと望みそばに置いておきたいと欲する。
つまりは毛利自身を連れ帰り愛でていたいのか。


本当に、どこもかしこも綺麗で困った奴だ。
膝を舐めながら毛利を見ると、口を手で塞いで閉ざしたままひたすらこちらを睨んでいた。



END





フェチな元親の話でした。元就フェチ。
しつこく足を舐める様子を書きたかったんですが、上手い表現方法が思いつかなかったんで簡単に済ませてます。
ねちっこく舐めてるとこ書きたかったのにな。

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