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「とにかく、こっちは大丈夫だから。関係各所への対応、頑張れ。以上!」
『おい! なり……』

電話口に向かい一方的に会話を終わらせると、颯緋の返答を最後まで聞かずに携帯を閉じた。後で、文句を言われそうだが、その時はその時。今は、颯緋なんかよりも目の前のストーカーの方が問題だ。
むしろ、どういうわけかコントロールの利かなくなった式を、奪還もしくは排除しなければならない。
たとえだ。あくまでもたとえばの話だが、神将達や家族にばれていたとしても、一応は陰陽師にならない選言をしているわけで。陰陽術を使わない体で生活してきたわけで。
妖に襲われた云々の話、以前の問題に発展してしまう恐れがあるのだ。

「天一、朱雀。建物の方は任せるね」
「はい、成明様」
「じゃあ、相手の顔を見に行きたいから、勾陳と太裳は俺に付き合ってね」
「なんだって?」
「だから、面を拝みに。ほら、ファンの顔くらい見ておかなくちゃ」

一人で行くと言わなかっただけ自分を褒めてあげたいのだが、三対の咎めるような視線を受けてしまったら、口が裂けても言えはしない。勾陳は面白そうに笑みを浮かべていたが、何も言ってこなかった。

「大丈夫だよ。勾陣の勇姿を太裳の背に隠れながら見てるだけだからさ」
「俺が相手をするから援護を位の気概はないのか?」
「兄の体裁を取り繕うためにノーコメントで」

今はいないとしても、帰ってきたら耳に入るだろうと冗談交じりで返すと、成明は勾陣と太裳を伴って走り出した。


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あきゅろす。
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