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――遊ぼうよ

そんな声が聞こえた気がした。










颯緋の声が鼓膜を揺らした余韻も冷めないうちに、大きな重低音と共に空気が振動した。

『成明様』
「家を囲っている結界がたわんだな」
「うわっ、それって大丈夫なの?」
「かなりの衝撃を受けたな。だが、大丈夫だ」

朱雀の言葉通り、成明が注意深く目を凝らしても結界自体には異常は見られない。朱雀と太裳に目配せで、外を見てくる様に頼むと、すぐさま二人の影は庭へと消えて行った。

「成明。颯緋に詳しく話を聞け」
「言われなくても。颯緋、何があった?」
『姿は見てないが、お前のファンらしい』
「……ふざけてるなら切るよ」
『家の門を半壊にさせられてふざけた事なんて言えるか!』

耳元で響く大絶叫に思わず携帯を離した成明は、本気で電話を切りたくなる衝動を抑えて、代わりに盛大に息を吐いた。

「で、その熱烈なファンとやらはなんて言ってたのさ?」
『声しか聞いてないんだが、どうやらお前と仲の良い奴が気に入らないらしいぜ。あ、そういや、お前の飛ばした式を大事そうに抱えていたぞ』
「うわー、すっごい熱烈だな」

道理で式からのレスポンスがない筈だ。全く歓迎出来ない事態であること以外、騒動の全容が見えない。

『お前、最近は大人しくしてただろ?』
「まぁ、そうだね」

向かって来る、もしくはちょっかいを出してくる者には、妖怪・人間を問わずそれ相応の対処をしてきたが、恨みを持たれてやり返される様な処理の仕方はしていない、と思う。

『俺も行くか?』
「いいよ、役に立ちそうもないし」
『おまっ! なんつーことを!!』
「自分の家、守ってなよ。俺には頼もしい頼もしい十二神将がついてるしな」

チラリと視線を向ければ任せろと言わんばかりに頷いて見せる勾陣と天一の姿をがあった。




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