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響く賑やかな声につられるように今へと入って行けば、楽しそうに話を進める昌浩と彰子を中心に祖父と神将達が集まっていた。

「おはよう」
「あ、兄上」
「おはようございます」
「もう準備は出来たのかな?」

運ぶだけに準備が進めてある荷物の山を見て、自分が出て来るのを待っていた事に気付く。体調不良を隠す様に、勤めて笑顔を崩さない様にする。

「俺も行きたかったな、ハイキング。二人とも熊に気をつけてね」
「熊が出るんですか?」
「大丈夫ですよ、彰子さん。太陰が吹き飛ばしてくれますから」
「ちょっと、成明! 適当な事ばっかり言わないでよ」

腰に手を当てて声を荒げる太陰を見て、本当に熊が出たら、成明の言葉通りに吹き飛ばすだろう事が予想出来て思わず苦笑が漏れる。

「じゃあそろそろ出るね」
「成明や、留守を頼むぞ」
「はい、お祖父さま」

晴明は青龍や天后を連れて仕事を片付けた後、昌浩達と合流して泊まって来る予定である。大方の神将達も一緒に行くので、屋敷に残るのは成明を含め数人だ。

「そろそろ出発するぞ」
「楽しんでおいで」
「はい」
「行ってきます!」

元気よく家を出ていく面々を見送った後、思わず息を吐く。なんとか昌浩達はごまかしたが、晴明は問う様な視線を向けて来ていた。

「大丈夫か?」
「問題ないよ。動けない程じゃないからね」

時計を確認すれば、準備を始めないと間に合わない時間になっている。

「準備しないと部活の時間に間に合わないな……」
「成明様、今日は休まれた方がよろしいのでは?」

太裳の言葉に、同じく家に残った天一と朱雀も頷いて見せる。

「大丈夫だよ、無理はしないから」

試合が近いので、休む訳にはいかない。急いで自室に戻り準備を済ませると慌てて家を後にした。


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