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『毒蟲編〜後編〜』




「と言う感じでした」

あの後、佐竹の屋敷をさっさと退出して、報告のために一度安倍邸へ戻った。……のが間違いだったかもしれない。

「そうか、そうか。力を使ってのう」

状況を説明する際に、以前の一件も話す必要性が出てきてしまった。


もう、それはそれは、予想通りの反応だった。こんなことになるなら、前回の時に腹を括って報告しておくべきだったと後悔する程に。

「なんとも嘆かわしいことじゃ。なんの力もないものを脅すなどと」
「……それに関してはすみませんでした」

全容を知りながら言ってくる辺りが、なんとも祖父らしい。

「時間的な事もありますし。今回は見なかったことにしてください」
「まぁ、誰が困るわけでもないしの」

残念な事に、二人の中では佐竹本人は頭数に入っていない。

「問題はその妖か」
「はい。虫刺されのような跡から妖気は感じましたが……」

周囲を念入りに調べたが、これと言った手がかりは見つからなかった。

妖の仕業であること告げた時の佐竹のことを思い出すと、何とも腹立たしくなる。
やはりあの時の恐ろしいばけものの仕業だと、自分を棚に上げて言ってきたのだから救えない。

「これ、聞く姿勢をとらんか」
「あ、すみません」

意外と根に持っているらしい。すっかり目が据わっていた。

今の注意は自分に責任があるので素直に謝り、しっかりと聞く姿勢を整える。

「目星はついておらぬが、こちらでも調べてみよう」
「お願いします」

自分の勘は信じる要素が少ないのだが、晴明の占は信頼できる。

出来ないことは出来る人にやってもらい、自分は出来る事をやればいい。


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あきゅろす。
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