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「何て言うか、恐れ多いような……」

勾陣の足元を歩くその姿は、いつもは昌浩と共にいるのだが。

『そんなに気にするな』
「勾陣様……。そうは言ってもやはり……」

だって、こんなにも不機嫌そうだし。
とは言えないけれど。

「すみません、騰蛇様。私が未熟なばかりにお手を煩わせてしまって」
「……別にかまわんさ」

そう言って尾を一振りする姿から察するに、手を貸すのはやはり面倒だが、仕方ないといった所なのだろう。

物忌みだという昌浩は、しきりに申し訳ないと謝りながら、物の怪を差し出してきたのだ。
物忌みの時くらいは甘えてくれていいのにと思うのだが、そこはやはり昌浩の美徳と呼べる所なのだろう。

「晴明様がおっしゃられていた屋敷というのは……」
「もうすぐだ」

晴明から昌浩へと頼まれた仕事なのだが、昌浩は物忌み。ちゃちゃっと行って退治する訳にもいかない……。
その話を聞いて、お世話になっているからと引き受けたのだが。
その旨をを晴明に伝えたら、それはもう嬉しそうな顔をしていた気がする。

「夜な夜な霊象に悩まされていると言うのは……」
『詳しい事は言ってきていないらしい』
「……見えっ張りですね」

野山育ちの自分には貴族の某は面倒だ。
それにしても。

「直球で陰陽師的な仕事を頼まれたらどうしましょう……」
「その場合は昌浩が出直すしかないな」
『晴明も出来る範囲で良いと言っていたしな』

妖怪退治とかならできるだが。他はちょっとかなり、出来ない自信が……。

祈祷とかを頼まれたら適当にあしらってしまえばいいやと結論づけて、案内をしてくれている物の怪の後に続いた。


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あきゅろす。
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