夏は暑いし大佐はエロいし。6








傍らに転がる、白い体。緩く束ねてある髪を、了解も無しに解いて散らす。

「あにすんだよ。もうやんねえぞ」

うつ伏せて睡魔と戦う鋼のから、舌足らずな答えが返ってくる。
金の糸を掬って口付ける。そのまま、滑らかな背中にもキスを落とす。

「無理。ほんと」
「しないよ。そこまで強いない」
「どうだか」

情事の後だと言うのに、甘さの欠片もない。さっきまで、私に縋りついて、あんなに甘い声でないていたのに。今も、汗と青臭い精の匂いが、シーツに残る。快楽の残像に、いつまでも後ろ髪を引かれる。

「あんた、嘘つくからな」
「心外だな。君に嘘なんて」
「じゃあなんだよそれ。終わった途端にデレデレしやがって」
「なんだ。『気持ち良くないかもしれない』と釘を刺したのに、気持ち良かったから怒っているのかと」
「アホ。バカ。色キチガイ」

そうか。そんな所に怒っていたのか。複雑な彼の心の中は、正しくは彼にしかわからない。しかし、どうして不機嫌になったかは何となく予想出来てしまう。
それならば、

「…名前で呼んでも?」
「人前で呼んだら、ぶん殴る」
「じゃあ、今はいいのだね。エドワード」

浮かれた振りをして、君に甘い言葉をかけ続けよう。
散々考えて、私を誘いに来た。きっと、余計な事まで深く深く考えていたに違いない。君に、欲に負けるだけの余裕があった事に感謝したい。チャンスとタイミングは、いつでも逃してはならないのだから。今、『実はずっと好きだった』なんて告白したら、きっと右の拳で殴られる。

「…くそ。色々と途中だったのに」
「仕方無いさ。経験の差だ」
「おい、随分としんどいんだぞこれ」
「そうだろうね。だから、何度も君にお窺いを立てた」
「…っくそ、腹が立つ…!!」

そっと頭を撫で、頬を触る。もう一度くらい、濃厚なキスはしておきたいのだが。

「次は、入れさせろよ」
「…っ!、なあ、それはまた、次があると期待しても良いのかね」
「あんた、男色の上にペドフィリアだったのか。スカした顔して変態だったなんて、知らなかった」
「その変態に入れたいのだろう?。君はそれの上を行く変態だ。安心しろ」

鋼のがこちらに寝返って、にやにやしながら体を起こす。

「うわっ!」

無理矢理に押し倒されて、襲うような深いキス。小さな舌が、私をこれでもかと誘う。

「っは。酷いな」
「好きだろ?こういうの」
「君の中で、私はどんな人間として認識されているのだろうね」
「もちろん、変態だよ」

濡れた唇を指先で拭ってやると、追いかけるように、舌先が舐める。

「あんたが変態で良かった」

嬉しそうにそんな事を言われたら、何も返せなくなってしまう。

「…そりゃあ、どうも」

14も下の子供にこんな事をされて嬉しいだなんて、私は本当に変態だったのかもしれない。
めでたく児童虐待の罪状で犯罪者デビューを飾ってしまった訳だが、今、犯した罪よりも、あと4年ばかり頑張って、大手を振って彼と幸せになる方法を模索した方が、建設的な人生だとは思わないか?。

夏が暑くて良かった。私がエロくて良かった。そして

「君も変態で、本当に良かった」

そう言えば、嫌な顔をされるのだけれども。それでも幸せを感じるんだ仕方無い。入れさせてやる予定は無いが、餌として釣っておこう。何せ相手も変態だからな。
どちらも変態なら、平和じゃあないか。







おしまい
2009819
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あきゅろす。
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