17くらいの時の俺


それでも、じれて一度誘った事がある。たしか、17になったばかりの頃だ。その時も俺は、精神的に余裕が無くていっぱいいっぱいだった。
書類提出と食事の約束を取り付けて、大佐の家に泊まりに来るまではいつもの流れ。最初から俺の心は決まっていて、風呂上がりの大佐に抱き付いた時には、その「いっぱいいっぱい」感が伝わっていたようで、大佐は少しも慌てはしなかった。

「なあ。しよう」

「前にも言ったろう?今の君に手は出せない」

「大佐としたい。あんたと付き合ってる特別な実感が欲しい」

「エド…」

「明日、あんたがどうなるかなんてわかんねえし、俺だって、どうなるかなんてわかんねえ。あんたが大事にしてくれてるの、凄いわかってるから、俺がわがまま言ってんのはわかってるけど、でも…」

「…もう、いい」

少し興奮状態になった俺を抱きしめて、言葉を遮る。大佐が困ってるのがわかる。でも、どうしても俺は自分の欲求を曲げることが出来ない。暫くしてから、大佐が俺の額に一つキスを落として体を離した。

「わかったから。こっちにおいで」

大佐が優しく笑う。諦めと困った表情にならないように、笑っているんじゃないかと思う。手を繋いで寝室に向かう間、ずっと胸がちくちくした。無理を押し通そうとしているのは俺だけど、相手に辛い選択をさせた事に、胸が罪悪感で重い。

「一つ、言わせてくれ。私も、君に触りたくない訳じゃない。大好きな君に触れたいし、欲情もする。誰よりも先に特別な関係になりたいと思っているよ」

ベッドに座って、向かい合った大佐は優しい口調で俺に念を押した。

「…ごめん」

「君を守る為なら、生真面目だと愛想を尽かされてもいい。そういう覚悟だったが…。君をそこまで追い詰めてしまっていたなんて」

大佐の手が俺の頬を撫でる。撫でられて気付いた。何時の間にか俺は泣いていた。何故だか自分でもわからないけど、罪悪感も前述のいっぱいいっぱいも大佐を愛しく思う気持ちも。窒素しそうなくらいに詰まっていて、とにかく余裕が無かったとしか言い様がない。

「ごめん」

「謝らなくていい。私だって悪かった」

「俺、あんたが好きだ。どうしても、好きだ」

「うん、知ってる。私も好きだよ。だから今は、これ限りという事で許してくれ」

キスで涙を拭うようにして、大佐はゆっくりと行為を始めた。
腕の中で重ねた唇の感触を味わっていると、大佐の方から舌が差し入れられる。絡められる舌先が熱く感じて、頭がぼうっとしてくる。

「ん…」

強く吸い上げられるだけで、腰が砕けそうになる。上手いというのは、こういう事なのかと頭の隅に浮かぶが、すぐに熱に溶けて消えてしまう。
俺も、興奮に大佐の体を撫でて触る。筋肉質の引き締まった体。俺よりも大きくて厚くて、逞しい大人の体。
軽く考えていたな、と早々に反省した。当たり前だが大佐は大人で、「抑えていた」だけで、俺の経験の無さと比べちゃいけないんだけど。

「…ぅ、ん…」

大佐が俺の肌をなぞり、舐め、時折歯を立てて噛みつく。もうすっかり興奮した俺の体は、胸を弄られるだけでも、過剰なくらいに感じてしまう。相手の吐息が近くて、重なる体温が近くて、求められている事実に感動する。物理的に近いという事に、単純だけど幸せを実感する。
されるがままに脚を開き、性器もなにもかもさらけ出す。恥ずかしいけど、大佐が相手と思う度に、熱は上がるばかり。

「あ、あ…」

「痛くない?エド、力を抜いて」

「んん、へいき…」

大佐の舌が俺のペニスを舐めて、唇で扱く。俺の大好きな、長くきれいな男の指先は、唾液に濡らされゆっくりと後ろの穴へと差し入れられる。

「は、あ、ぁあ」

穴を広げるように動く指と、裏筋を押し上げるように舐める舌に、喘ぎ声が止まらない。
服を脱がされ色々弄られ、興奮し過ぎてやや早漏気味になる。言い訳をさせてもらえば、自分が愛する人と念願の関係を結んでいる、その事実が。たまらなくさせているんだ。決して俺は早漏ではない。

「ほら、ここ、気持ちいい?」

「ぁ…あつい…、っん、きもち、い…」

「かわいいね、エド」

大佐が全て服を脱いで、肌が直に合わさる。布一枚が有るか無いかでこんなにも興奮は違う。大佐のペニスに手を伸ばすと、質量の違うそれがやけに熱くて興奮は止まらない。ゆっくり扱いて弄ると、低く甘い息が大佐の口から漏れる。相手も興奮していることに、俺は酷く安心する。


弄ったり、舐めたりしゃぶったり、互いのモノを併せて扱いたり。一晩中そんな事をして、何度も射精した。最後は喘ぎ声も出なくなって、俺は大佐の腕の中で、気だるい幸福感に満足し、深い眠りに落ちた。

ありがとう、ごめんなさい、俺の大切な優しい人。経験未熟な俺は体力が続かなくて、挿入までは到らなかったけど、本当に幸せだ。
こんな気持ちいい事を知ったのに、また何年も待たなきゃいけないなんて、少し酷なような気もします。でも、無理をしてくれた大佐の為にも、俺だって我慢しなくちゃ。そう思って、数年先にある更なる幸せを待つ事にした。



[*前へ][次へ#]

3/6ページ

[戻る]


あきゅろす。
無料HPエムペ!