flower* 王道副会長(2) (――――!) 常に貼り付けてある筈の。麗しの笑顔が。 副会長の鉄壁を誇る防御壁ではないのか。それなのに―――― (どうして…………) そんな簡単に、初対面である、僕の前で、外してしまうの? 「あ、の、副会長……?」 「ねえ、僕が質問しているんだけど。なに、答えてくれないの?」 無表情の副会長は。 まるで人形の様に、温度を感じさせない。 先程までの聖水を連想させる、澄んだ綺麗な瞳は、今は氷の張った冬の湖のように、温度のない色をしていた。 「…………地毛、ですよ」 「――――フフ、そっか」 低い声で答えると、副会長の口元には先程の笑顔が貼り付けられた。 「ごめんね、ヘンなこと訊いちゃって。あまりにキレイな髪だから、気になったんだ。珍しいんだね。ああ、何か分からないことがあったら、君からもどんどん尋ねてくれていいからね」 「ええ」 嗚呼、心地悪い。 その無表情は、一見拒絶するようだが、その実、深く嗅ぎ探るような、そんな雰囲気を感じた。 揺さぶりをかけるような、そのやり方は、好きじゃないなあ。 「ふふふ」 無意識のままに、彼の笑顔も、先程より硬質なものになっていた。 [*前へ][次へ#] [戻る] |