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flower*
理事長にて(2)
 §

「失礼しました」
 柔和な笑みを残して去っていった彼に、知らずと詰めていた息をふう、と吐き出す。
「…………全く、恐ろしい子だ」
 それにしても、妹夫婦の判断は、本当に正しいのだろうか。
(――――いや、正しくなんか、ない)
 妹夫婦は狂ってしまったのだ。
 妹は、恋愛結婚で嫁いでいき、子供を設け、幸せそうに暮らしていたのに……いや、だからこそ。
 信じたくない事実から目を背けて、雅人を、人里離れた山奥にあるこの天里学園に送り込んだ。

 ――――可愛い可愛い甥。
 ずっと、手放したくない。手元に置いておきたい…………。
 その内、密かな想いは一線を越えるようになっていた。しかし――――――…………

 自分への罰なのかもしれない。
「こんなことに、なるなんてな」
 これは、“あの時から”定まっていた運命なのだろうか。
「…………今になって、俺だけが責められている気分だ」
 自分の犯した罪は、この程度では精算できないのだ。

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あきゅろす。
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