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モノクローム・ワールド



最近、ふと気が付いた。

昔はあんなにキラキラしてきれいだった世界が、いつのまにか輝きを失った。

色あせてしまったわけじゃない。光が弱くなったわけでもない。

ただ、なんとなく日常の忙しさから顔を上げてみれば、いつのまにか。


世界は輝くことをやめていた












 色彩革命














ある日のこと。

廊下を歩いていると、どこからか穏やかじゃない声が聞こえてきた。言い争いとも違う、誰かを一方的に脅しつけるような声。

嫌な予感がしつつも渡り廊下に出ると、案の定壁際で数人が一人の男子生徒を取り囲んでいる。

あまり見ない方がいいとは思いつつ、つい横目で様子を窺ってしまう。

胸倉を掴まれている男子の頬には痛々しい紫色のアザができているし。今にも泣き出してしまいそうな脅えきった顔で彼は目の前にいる男達を見ている。
明らかにかつあげか何かだ。


ふと、横切る人の気配を感じたのか、その男子がこちらを向いた。


恐怖に見開かれた目と視線がぶつかる。

一筋の光を見つけた、懇願するような目だった。



けれど、あたしは当たり前のようにその場を通り過ぎた。

まるで“何事もなかった”と言わんばかりに。












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