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「…まぁなんでもいいッスけど」



何でもいいの。人をこんな所に呼びつけておいて。


ふうっとため息をついた切原に、ため息をつきたいのはこっちの方だと心の中で毒づいてやる。



「あたし急いでるんで、それじゃ」

「あ、ちょっと!」


とにかく置いてきた二人の元へ戻らなければ。大騒ぎしているだろう絵里子をなだめて、でもってさっさとお昼買いに行って平和な昼休みを、


「実は、お前さんに頼みがあってな」

「ひゃ!?」


踵を返そうとしたら突然頭をがしっと押さえつけられた。

端正な顔が、あたしの平凡極まりない顔を覗き込んでくる。
昨日と変わりなく、憧れを通り越して劣等感すら抱いてしまうほど綺麗な顔だ。
こんな人にパンツを見られたかと思うと、泣きたくなった。
誰か穴掘ってください。とびきりでかいやつ。



「赤也から聞いとると思うんじゃけど、」


え?


「ま…待って待って、何でその話をあなたがするの!?」


言葉を遮ったあたしを見る彼の目は、不思議なものでも見てるみたいだった。

切原に視線を投げると、ヤツはあーとかうーとか言いながら頭をかいている。

そ、そうだ、この人そもそもなんでここにあたしを連れてきたのかも全然答えてくれなかったんだった。
切原が話してたんだろうか。でもそんなこと逐一報告するほど女々しそうには見えないんだけどな。


あぁ、もう。謎が多すぎる。頭が痛くなってきた。
もしストレートに、99.999%ぐらいないとは思うけど、今回の呼び出しが告白だったとして。人の色恋に首を突っ込むのは無粋では。ていうかこれはいささか顔が、


「…近い」

「ん?」



ぎゃあああっ!
何この人!!これはあれか!?俗に言う美形攻撃か!?

更に顔を近づけられて、あたしはもう照れるどころの騒ぎじゃない。身を引こうとしてもがいてみるが、頭を掴む力が強すぎて身動きが取れない。初めて見た時から整った顔だとは思ってたけど、この距離はいくらなんでも破壊力ありすぎ。


真っ赤になるあたしを見て、仁王はくっくっと小さく笑った。



「とりあえず最後まで聞いてくれんか?」

「は…はい」



美形攻撃にあえなく屈するあたし…。情けなくて涙がでそうだった。



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あきゅろす。
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