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そして何事もなかったかのように一日は始まり、四限目の授業終了のチャイムがなって、昼休み。
あたしは午前いっぱいを落ち着かない思いで過ごしていた。
どうせからかわれているんだろうという思いと、そうだとしても行かなかったら悪魔が怒るんじゃないかとか、そんな迷いから授業の間中行くべきか行かざるべきかで悶々としてて。数学の時間には、あたしってこんなに優柔不断だったのかと自分についての新しい発見さえした。
そして、いよいよタイムリミット。
どうしよう、どうしよう…。何が正解?どうしたらいい?
正直どんなに考えても、あれが告白とは思えないし。
でも木の下に呼び出されたってのは…。
だとしたら何?かつあげ?行った途端恐い人たちに囲まれたらどうしよう。
いやいや、ひょっとすると密かに悪魔の集会が行われちゃうのかもしれない。
そもそも何でその場所なんだ、それが事態を余計ややこしくしてるんだよ。
「誰かあたしに答えをくれ…」
「何すんのよ!」
近づいてきた絵里子の腰にしがみ付こうとすると、くわっと鬼が顔を覗かせた。
そ、そんなに怒らなくてもいいのに。
予想以上の反応にびくっと手をひっこめたあたしの頭に手がのっかる。
「茜、今日のお昼どうする?私たちは購買に行こうと思ってるんだけど」
振り向くと千春が呆れ気味に笑っていた。
クールビューティーな千春とキュート街道を突っ走っている絵里子。
ぽけっと口を開けたままそんな二人の顔を交互に眺めた。
決まりだ。
「行く!あたしも行く!」
二人には購買ぐらいで何をそんなにと言いたげな目を向けられたが、あたしはここぞとばかりにその誘いに飛び乗った。
グッバイ悪魔くん。もう二度と会う事がないことを祈ってる。
「何食べる?あたしいつものジャムパンにしよっかなー」
購買に向かう二人の後を、食欲ないなぁなんて考えながらついて行く。朝ごはんを一時間も早く食べたというのに、なんだか胃の底の方に変なもやもやが溜まってる。
「ねぇ、茜はなんにする?って、茜?おーい?」
しっかりしろー。って目の前で手を振られてハッと我に返った。
「あ、ご、ごめん。ぼーっとしてた。何の話、」
「うわああっ、みてみて茜!仁王クンだ!!」
慌てて訊き返したその時、耳をつんざくような声が言葉を遮った。
声を出した張本人の絵里子は、あたしの腕を掴むと窓の外を指さして騒ぎ立てた。
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