I will go to meet you tomorrow(燐廉)
―――――燐side
気付いてしまった
そう俺は気付いてしまったんだ
気付いてしまったらもうこの気持ちは止められない
これは憧れなんかじゃない、俺はお前が大好きなんだ、志摩
俺がこの気持ちに気付いたのはついこの間。
塾も終わり、夕暮れが綺麗だったあの日
俺と志摩、勝呂に子猫丸とで寮まで一緒に帰っていた
その時ふと志摩を見ると志摩の髪が綺麗な夕日色に染まっているのを見て俺は知らない間に見とれていた
俺がぼーっとしているのに気付いた志摩が俺の肩を叩く
「奥村くん、どないしたん？」
「い、いや、別になんでもない…！」
「ふふ、いきなりどもってどないしたん、ほんま。なんか変な奥村くんやなぁ」
袖口を口元にあてながら笑う志摩を見て胸がドキッっとした
しかもいつも聞いているはずの志摩の声がすごく心地よく聞こえて、いつも見てるはずの志摩の笑顔は見とれてしまうほど綺麗で
「お前ら何やっとんねん！置いていくで！」
「待ってや坊！今行きますて」
俺達より前を歩いていた勝呂達に呼ばれ俺を置いて勝呂の方へ向かおうとする志摩
その姿に胸がズキッと痛んだ
やっぱり幼なじみという壁は越えられないのかなと思いつつも胸を締め付けるこの淋しい気持ちに支配されそうになる
少し前へ駆け寄っていた志摩が後ろを振りかえるとまたすごく綺麗な笑顔でその心地よい声で俺を呼ぶ
「奥村くーん！はよ行かんと置いていかれますよー！」
ぶんぶんと手を振る志摩
あぁ、そうか。やっぱりこの気持ちは…
そんな気持ちを抑えつつ、俺はあいつらの元に駆け寄った
「おう！いま行く！」
そうだよ、俺は志摩が大好きなんだ
気付いてしまったらもうこの気持ちは押さえきれない…！！
普段塾でしか会えないお前に淋しさだけが降り積もっていく
もし今、お前に会ったら嬉しくて抱きしめちゃうかもな
―――――志摩side
気付いてしまったんや
そう俺は気付いてしまったんよ
もうこの気持ちは止められん
これは憧れなんかじゃあらへん、俺は君の事が大好きなんよ、奥村くん
先週の日曜日
たまたま坊も子猫さんも用事があるという事で暇だった俺はベットの上でごろごろしていた時、奥村くんからメールがきた
その内容はもし暇なら一緒に遊ばないか、というもの
特にする事もなかったのでその誘いに乗り、俺は奥村くんと一緒に遊びに行く事にした
昨日は土砂降りだったので外に出ると微かに雨のにおい
そういえば奥村くんが雨の中クロと一緒に遊んでいて結果ずぶ濡れのまま教室に来たことで若先生に怒られていたなぁと思い出す
ほんま奥村くんは面白い人やなぁ
なんか無償に会いたくなってきたわ
そんな事を考えていると目の前には待ち合わせをしていた彼が立っていた
「よ！志摩！いきなり誘ってごめんな」
「そない事ありまへんよ。俺も暇やったんで！」
いつものように笑いながら答えると奥村くんの顔がほんのり赤くなった気がした
「？あ、そういえばどこ行きましょか？」
「あ、あぁ！えっと、雪男からこんなの貰ったんだよ」
彼が手に持っていたのは最近公開し始めた映画のチケットだった
たまたま見たテレビ番組でピックアップしていた作品でとても気になっていたアクション映画
「これ前から気になって作品ですわ！」
「お、本当か？だったら尚更誘ってよかったぜ」
ニカッっと笑いながらチケットを鞄の中に再び入れる
軽く鼻歌を歌いながらしまうその姿はとても楽しそうだ
「じゃあ行くか！」
スタスタと歩いて行ってしまう奥村くん
「ちょ、いきなり！待ってな！奥村くーん！」
俺が叫ぶと彼は後ろに振り返った
その瞬間
「ほら早く来いよ！志摩！」
俺の胸がドキッっと鳴った
振り向いた彼の笑顔が心から笑っている本当の笑顔で、俺はそれを見ただけだ
でもすごく胸がドキドキしていて
何なんや、この気持ちは……
「本当置いていくぞー！」
「え、あっ！い、今行くて！」
俺は彼に向かって走り出した
この分からない気持ちと一緒に
この日から気付くと俺の視線は奥村くんに向いていた
誰かと奥村くんが話しているだけで胸がチクっと痛くなる
奥村くんが話しかけてくれる、笑いかけてくれる、そうすると胸の辺りが温かくなってくる
そんな日が続くと流石に阿呆な俺でも気がつくに決まってるわ
そうや、俺は奥村くんが好きなんよ
気付いてしもうたらもうこの気持ちは押さえきれん
小さい頃からからヘタレ言われてきた俺やけど勇気出して言ったるわ
大好きや、ってな
――――もう好きって気持ちだけじゃ物足りないんだよ
――――お前が欲しいんだよ、志摩
――――だから言わせて
――――もう好きって気持ちだけじゃ物足りないんよ
――――………大好きやねん、奥村くんの事
――――こんなんやけど勇気振り絞ってん。だから聞いて貰ってええかな？
((貴方の事を愛してます))
I will go to meet you tomorrow
BGM･明日、僕は君に会いに行く。
私の中で勝手に燐廉のイメージソングになってます
むしろBGMではなくこの歌をイメージした話になっちゃってたり
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