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Time of the blank(臨帝)




Time of the blank




この間までストーカーみたいにべったり僕にくっついていた臨也さんがパタリと学校にも家にも来なくなってしまった


もう一週間ほど会っていない


別に最初の頃はいなくなって清々していたが、日が経つにつれて胸の当たりにモヤモヤとした不安が駆け巡る
そして知らないうち玄関を見るのが癖になってしまっていた
なんであんな人なんか心配してるんだろう……



その時だった


トントン


玄関の音が叩かれたのは





帝人はすぐに立ち上がり、玄関へ向かい走っていく
そして扉を開いた


「!!臨也さんっ!???!」


しかし扉の外に立っていたのは、


「………犬?」


黒い小さな犬だった


「なんで犬が?」


その黒い犬はワンっと一回鳴くと、僕の足元へとすり寄ってきた
よく見るとあの人と同じ赤い瞳
臨也さんが犬になったみたいだ
まぁあの人はこんなに可愛くないけど

帝人は微笑んだあと屈み込み、犬を抱き上げ抱きしめた


「……臨也さん、一体何処にいるんですか、早く会いたい……」










「ここにいるよ」


ハッと顔を上げ、声がしたほうを見ると臨也さんが壁に背を預け立っていた
犬に気を取られすぎていてまったく気付かなかった



「……臨也さん?」
「もちろん正真正銘、本物の俺だよ」



今まで何処にいたのかと尋ねようとしたら、臨也さんに抱きしめられた
目の前にいる臨也さんの服から、髪から、臨也さんの匂いがして、とても落ち着く
そして今までの胸のざわめきがすぅっと消え去っていったのが分かった



「寂しかったかい?」
「…別に寂しくなんかないです」
「でも俺に会いたかったんだろう?」
「………っ」
「俺は会いたかったよ。そしてこの腕で君を抱きしめたかった」



臨也がそう言うと同時に帝人の頬に涙が流れていく
臨也は帝人を抱きしめる力を強くした
帝人もそっと臨也の背中へと腕を回し、抱きしめ返す


二人その姿はまるで何十年も会えなかった恋人同士のように見えたのだった



ふと帝人は足元を見ると、あの黒い犬が帝人の足に頭をすりすりさせている



「臨也さん」
「なんだい?」
「この犬は一体…」
「あぁ、この犬は帝人くんにプレゼントだよ」
「プレゼント?」


臨也さんは俺の足元にいた犬を抱き上げ、犬の頭を優しく撫でた



「不本意だけど俺が帝人くんといられないときもあるからね。だからその間君が寂しくないようこいつを俺だと思って一緒にいてあげて」



臨也さんがそう言ったあと、犬が返事をするようにワンっと鳴いた

ものすごく以外だがこの人にもこんな一面があるんだな
なんか新しい発見をした気がする



「ありがとうございます」
「まぁ普段は俺が君を可愛がってあげるから、夜もね」
「なっ..!!!!」



臨也さんはニヤッと笑ったあと、犬を抱きあげたまま家の中へ入って行く
そして臨也さんは後ろを振り向き僕に言った


「帝人くん、ただいま」


「お帰りなさい、臨也さん!」












そういえば犬の名前は何にするんだい?

やーさんです

へ?

この子の名前はやーさんです!臨也さんから捩りました!

そ、そっかぁ……

何か変ですか?

いいや、素晴らしい名前だと思うよ
(そして素晴らしいネーミングセンスだね)










帝人はネーミングセンスが無いと思うのは、私だけ?
あとこの二人は付き合ってはいません
付き合うちょっと前って感じですかね
今度このワンコとの生活の話も書いてみたいなぁ

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