おもいびと
◆うつろい8
久しぶりの外食。
店の駐車場にBMのクーペを停めて入ったのは焼肉屋。
フランス料理のコースなんかよりは自然体で居られるし。
野郎3人で焼肉ってのはいかにも有りがちだけど。
メンバーの組み合わせが妙だ。
百瀬さんのイメージじゃないし。
まあ……。
兄弟に見えなくもないけど。
外見に似合わず鷹揚に構える長男。
見かけに反して意外と細かい次男。
そして、三男のおれ。
……あるかもしれない。
ああ……
結構あるかもな。
「海斗。カルビでいい?」
百瀬さんはおれを『海斗』と呼ぶ。
下手に気を遣われて、一線引かれるよりはずっといい。
「──うん」
「じゃあ……タンと上カルビと豚ロースと……」
……………………。
どんだけ注文続くんだ?
百瀬さんの仕切りは完璧だ。
誰も口を挟めない。
「……野菜盛り合わせ三人前ずつ。それと石焼ビビンバ」
「おれもそれ。ビビンバ」
「ビールは?」
「欲しい」
柊司さん。
任せっきりなんだな。
「海斗は?飯と飲み物」
百瀬さんの気配りが柊司さんを鷹揚にするんだな。
色々意外で色々納得した。
「ビビンバと烏龍茶お願いします」
オーダーを復唱する店員は大変そうだった。
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