おもいびと
◆懺悔4
母に知られたのは夏休み前。
既に真夏のような暑さで。
おれたちは行為の後、そのままベッドを共にしていた。
夜中に帰宅した母が、何かを取りに二階に上がってきたんだろう。
窓を開け放して、部屋のドアも半開きの状態だった。
「──陸?窓閉めないと、風邪ひく…………」
室内に入ってきた母の声でおれは目を覚まして。
おれたちが眠っていたベッドの脇に立ち尽くす母の姿を見た。
驚いて身体を起こしたおれに、陸が寝ぼけた声で甘えてきて、背中からまた抱きしめられて。
母は何も言わず部屋を飛び出した。
その日。
母は帰宅する予定ではなかった。
同僚と温泉に一泊するからと朝から出て行って。
帰宅は翌日のはずだった。
父は勤務で不在。
だからあんな状態を許していたのに。
あの場面では。
おれたちの関係は明白だった。
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