おもいびと
◇断罪9
つまらない毎日。
下らない日常。
けれど、おれは毎日部活に通う。
部室に行く途中に、三年の校舎と昇降口があるから。
おれは、海斗の姿を求めて通い続けた。
偶然を期待して。
時には、大好きな姿を見付けて舞い上がったり。
滅多にないけど。
海斗とすれ違えた瞬間。
心臓が潰れるかと思うくらい痛くて。
ひどく泣きたくなっている自分に気付いた。
そんな夜は、海斗は決まってメールをくれた。
「愛してる」
たったそれだけの、そんな簡単な言葉ひとつで、おれを安心させてしまう。
おれも愛してる。
離れていても、ずっと好き。
むしろ、想いは強くなって。
おれの『好き』は、海斗から離れる事はない。
いつかまた、一緒に暮らせるんだと信じて。
おれは、海斗の受験が終わるのを心待ちにしていた。
断罪
――終――
[*前へ]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!