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おもいびと
◆原罪7





おれの両手が強い力で掴まれて。
おれの制止を振り切って。

すでに硬く張り詰めて、淫らに濡れた先端を舌先で迎えようとして。

陸は迷わずそこに唇を寄せてキスをした。

「ダメだ!陸っっ」

「抵抗したら咬むよ!!」

突然、強く感情をぶつけられて、おれは身動きひとつ出来なくなった。

おれの両手を掴んだまま、おれを見上げる強い視線が、おれの僅かなモラルを捩じ伏せる。

陸は、そんなおれを見上げたまま。
反り上がって震えるようにヒクつくそれを、そっと口に含んだ。



見詰められて。
射竦められて。

熱く包み込む粘膜と、蠢く舌の動きに縛られて。

おれは力を失った。



おれを這う舌が、ぴったりと吸い付くように撫で上げて、ビリビリとした鋭敏な快感でおれを押し上げる。

先端のくびれをぐるりと舌でなぞってから、割れた部分に固い舌先が捩じ込まれ、擦られて。

湿性を示す水音を伴った刺激が、おれの全身を快楽で支配して。



おれの頭の中は、真っ白になっていた。



夢中になっておれのペニスを銜えて。
舌と唇で締め付けながら抽挿する陸は。

一方では自分自身を愛撫していて。



粗ぐ呼吸と、上気した顔。

潤んで赤くなった目許が酷く淫猥なはずなのに。

陸のそれは、優艶な艶を帯びていて。



煽られるまま、ゆとりなく興奮しきっていたおれは。興奮しているのが自分だけではないと安心感を得て。
本能的にたどり着く先を求め始めていた。



やがて。
おれは、膨張した欲の塊が迫り上がってくるのを自覚した。



「陸、離せ。……出るから」

ひとの言う事なんか聞いちゃいない。

はち切れそうに充血したおれ自身の脈動を感じているようで。
陸は離すことなく、さらにおれを責め立てた。

抗えない快感が腹の奥から上がってきて、同時に虚しい衝動が背中に落ちてくる。

「──離せ!陸っっ」

理由の分からない感情の昂揚で、涙が出てきた。

「離してくれっっ!!」

次々とあふれてくる涙を雫したまま。
全身が痺れたように痛んで。

止めようのない戦慄と共に、おれの薄汚れた欲が陸の舌の上に噴き出した。

「あ…………あぁっっ……陸……陸…………っっ!!」

繰り返す強い脈動に合わせながら、腹の奥から強く吸い出されて。
強烈な快感に引き摺られる。

「──ぃい…………んっっく」

おれは嫌らしい喘ぎを洩らしながら、淫らな醜態をさらしていた。



それは、何度も経験した射精でありながら。

身体ごと、心まで満たされて。



最低な野郎だと、自身を蔑みながら。





至福の快楽に酔わされた。



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あきゅろす。
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