おもいびと
◆原罪4
気が付くと、おれの目には涙が滲んでいた。
慰めるようなキスを贈られて。
頬や首に、陸の唇が触れるたびに、快感に酔わされて。
おれは、陸の手の中に堕ちていた。
おれの意思を探るように、そっと肌に触れる。
シャツの裾から忍び込んだ手が、おれの腹から胸へと上がってきて。
まるで、これからの行為の前戲みたいに愛撫する。
不意に乳首を擦られて、おれの身体がビクンと跳ねた。
キスが、おれの舌を味わうように搦め取る。
シャツのボタンを、キスを続けながら器用に外す陸の在り方に圧倒されて。
ジーンズの前まで開かれて、陸の指先が忍んでおれに触れてきた。
「──陸……ダメだ」
口ではそんな事を諭していながら、陸に求められる快楽に抗えない。
陸はもう、何も応えなかった。
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